目次 I〈秋の大綱〉-7


7 所得拡大促進税制の適用要件緩和と延長

【1】改正の概要

 雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度については、高齢者の退職と若年者の採用による平均給与減少といった事情を考慮するため、給与等支給額「平均」の比較対象が、退職者・再雇用者・新卒採用者を除いた「継続雇用者に対する給与等」に見直されます。また、給与等の増加割合(次表の要件(1))が緩和されるとともに、適用期限が平成30年3月31日まで2年延長されます。所得税も同様に措置されます。

現 行 改正案
【要件(1)】雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額(注1)から基準雇用者給与等支給額(注2)を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合 5%以上


平成27年4月1日前に開始する適用年度 2%以上
平成27年4月1日〜平成28年3月31日に開始する事業年度 3%以上
平成28年4月1日〜平成30年3月31日に開始する事業年度 5%以上
【要件(2)】雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないこと。
【要件(3)】平均給与等支給額
  比較平均給与等支給額
平均給与等支給額
 比較平均給与等支給額
給与等…国内雇用者(注3)に対する給与等 給与等…継続雇用者に対する給与等(注4)
(注1) 雇用者給与等支給額とは、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。
(注2) 基準雇用者給与等支給額とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度(基準事業年度)の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。
(注3) 国内雇用者とは、法人の使用人(法人の役員及びその役員の特殊関係者を除きます。)のうち法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者をいいます。
(注4) 継続雇用者に対する給与等とは、適用年度及びその前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいいます。ただし、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度に基づき雇用される者に対する給与等を除きます。

適用期日 上記の改正は、平成26年4月1日以後に終了する適用年度について適用されます。


【2】経過事業年度において改正後の要件を満たす場合の取扱い

(注) 経過事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始し、平成26年4月1日前に終了する事業年度で改正前の制度の適用を受けていない事業年度をいいます。

適用要件 内 容
平成26年4月1日を含む適用年度に改正後の制度を適用すること。
経過事業年度において、改正後の要件を全て満たすこと。
改正後の規定を適用して算出される税額控除相当額を、適用年度の税額控除額に上乗せして法人税額から控除することができます。また、控除上限額も経過事業年度の期間に応じて上乗せされます。

■所得拡大促進税制の改正のイメージ
所得拡大促進税制の改正のイメージ

 

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