目次 III-2


2 小規模宅地等の評価の特例制度の拡充

【1】現行制度の概要

 個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(小規模宅地等)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合が減額されます。

小規模宅地の区分 限度面積 減額割合
特定事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等
400平方メートル 80%
特定居住用宅地等 240平方メートル 80%
貸付事業用宅地等 200平方メートル 50%


【2】特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積の拡大

 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積が330平方メートル(現行:240平方メートル)までの部分に拡充されます。


適用期日 この改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。


【3】特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等の併用

 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とされます。

■特定事業用と特定居住用の宅地を併用する場合の限度面積
未成年者控除
※事業用宅地とは、農機具置場(都市農業者)、店舗の敷地(個人事業者)など。

 なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととされます。

適用期日 この改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。


【4】特定居住用宅地等の適用要件の緩和・柔軟化

(1)  一棟の二世帯住宅について、構造上区分のあるものについては、現行では、特例の適用対象となりません。これを、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とすることとされます。

(2)  次の要件が満たされる場合に限り、老人ホームの終身利用権を取得した場合であっても、老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用することとされます。

被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。

適用期日 これらの改正は、平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

 

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