目次 平成24年度税制改正大綱による改正案 III-4


4 その他の所得税制関連の改正

【1】金融・証券税制関係

(1)  上場株式等に係る譲渡損失と配当所得との損益通算及び繰越控除の特例等の適用対象となる上場株式等の譲渡の範囲に、信託会社(信託業務を営む金融機関を含みます。)の国内にある営業所に信託された上場株式等の譲渡で、当該信託会社を通じて、外国証券業者への売委託により行うもの又は外国証券業者に対して行うものが加えられます。

(2)  非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税(いわゆる「日本版ISA」)について、次の措置が講じられます。

非課税口座年間取引報告書に記載すべき事項のうち繰越取得対価の額の記載を不要とするとともに、非課税口座内保管上場株式等について行われた株式分割等により非課税口座に受け入れた上場株式等がある場合には、その数、事由等を記載することとされます。
非課税口座開設確認書の交付申請書と非課税口座開設届出書について、これらの書類を同時に金融商品取引業者等の営業所の長に提出できる取扱いとされます。

(3)  特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、その年中に取引のなかった特定口座については、その特定口座を開設していた居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者に対する特定口座年間取引報告書の交付を要しないこととされます。ただし、その居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者から請求があった場合には、当該報告書を交付しなければならないこととされます。


【2】その他

(1)  子ども・子育て新システムに基づく給付、平成24年度以降の子どものための現金給付、雇用保険の失業等給付について、所要の法整備や法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置が講じられます。

所得税・個人住民税を課さないこととされます。
国税・地方税の滞納処分による差押えが禁止されます。

(2)  地方公共団体情報処理機構法(仮称)の制定を前提に、社会保障・税番号制度が実現した場合に個人番号(マイナンバー)を生成する機関となる地方公共団体情報処理機構(仮称)が所得税法別表第一(公共法人等の表)に追加されます。

(3)  医療費控除の対象範囲に、介護福祉士等が診療の補助として行う喀痰(かくたん)吸引等に係る費用の自己負担分が加えられます。

(4)  源泉徴収義務者が給与所得者等から提出を受けた源泉徴収関係書類の保管・提出について、次のとおり現行の取扱いが法令に規定されます。なお、保管期間はそれぞれ次のとおりとされます。

給与所得者の扶養控除等申告書等(参考参照)の提出を受けた給与等の支払者等は、その申告書等をその提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保管することとされます。また、税務署長がその申告書等の提出を求めたときは、その給与等の支払者等はその申告書等を税務署長に提出することとされます。
財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書等の提出を受けた金融機関の営業所等の長等は、その申告書等をその契約終了の日の属する年の翌年1月1日から5年間保管することとされます。また、税務署長がその申告書等の提出を求めたときは、その金融機関の営業所等の長等はその申告書等を税務署長に提出することとされます。

参考  給与等の支払者等が保管する申告書
(1)給与所得者の扶養控除等申告書
(2)従たる給与についての扶養控除等申告書
(3)給与所得者の配偶者特別控除申告書
(4)給与所得者の保険料控除申告書
(5)退職所得の受給に関する申告書
(6)公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
(7)給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
7年間保管

適用期日 この改正は、平成25年1月1日以後に提出すべき申告書等について適用されます。

(5)  7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等につき徴収した所得税の納期に関する特例について、次の措置が講じられます。

  現 行 改正案
納期の特例 翌年1月10日 翌年1月20日
納期限の特例 翌年1月20日 廃止

 これにより、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出のみで、翌年1月20日が納付期限となります(「納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」は廃止されます。)。

適用期日 この改正は、平成24年7月1日以後に支払うべき給与等及び退職手当等について適用されます。

(6)  公的年金等に係る所得以外の所得を有しなかった者が寡婦(寡夫)控除を受けようとする場合の申告書の提出が不要とされます。

適用期日 この改正は、平成26年度分以後の個人住民税について適用されます。

 

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