目次 III-2


2 その他の改正

【1】外国子会社合算税制等の円滑な執行を図るための措置 (措法66の6、68の90他)

 外国子会社合算税制等の円滑な執行を図るため、次の措置が講じられます。

株式等の保有を主たる事業とする統括会社について、事業基準以外の適用除外基準の判定を統括事業により行うことが明確にされました。
特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)の計算上、外国関係会社の本店所在地国以外の国又は地域に所在する法人から受ける配当等が非課税所得の範囲から除外されるための持株割合要件等が廃止されました。
日本税法基準によって特定外国子会社等の合算対象とされる金額を計算する場合には、現物分配に係る課税繰延べ規定の適用はないことが明確にされました。(措令39の15丸数字1
その他の見直し等は以下のとおりです。
(イ)  外国関係会社の所得の金額が零の場合のトリガー税率の判定は、外国法人税の表面税率により行うことが明確にされました。
(ロ)  資産性所得の基因となる株式等に係る保有割合10%未満の要件の判定時期は、配当等については当該配当等の効力が生ずる日、譲渡については当該譲渡の直前であることが明確にされました。
(ハ)  資産性所得に係る費用の計算について、次の措置が講じられました。
  (a)  利子・配当等の額に対して課される外国源泉税の額は、資産性所得の金額の計算上控除できるよう計算方法が見直されました。
  (b)  債券の償還差益に係る資産性所得の費用の額を簡便法により計算する場合には、償還の直前の事業年度終了の時(改正前:償還の直前)の総資産の帳簿価額を用いることとされました。
  (c)  株式等及び債券の譲渡に係る資産性所得の金額の計算上控除する取得価額について、その計算方法(移動平均法等により計算)が明確にされました。
  (d)  特許権等の使用料等に係る資産性所得の金額の計算上控除する特許権等に係る減価償却費は、継続適用を要件として、日本税法基準又は現地税法基準のいずれかにより計算することが明確にされました。
(ニ)  資産性所得合算課税制度における次の現行の適用除外基準について、それぞれ次の明確化が行われました。
  (a)  資産性所得割合基準(当期純利益に占める資産性所得の合計額の割合が5%以下であること):「当期純利益」には外国源泉税の額は含まれないことを明確化
  (b) 収入金額基準(資産性所得の合計額に係る収入金額が1,000万円以下であること):「収入金額」の定義を明確化(償還差益に係る収入金額とは、償還金額ではなく償還差益であること等)
特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例等について、上記と同趣旨の改正が行われました。
その他所要の措置が講じられました。

適用期日 これらの改正は、内国法人の平成23年4月1日以後に終了する事業年度において、特定外国子会社等の合算対象とされる金額(その特定外国子会社等の平成22年4月1日以後に開始する事業年度分に係るものに限られます。)につき合算課税を行う場合について適用されます。ただし、上記ハの改正は、特定外国子会社等の平成23年6月30日以後に行われる現物分配について適用されます。(税制整備法附58、改措令附21)


【2】非居住者等に係る事業譲渡類似及び不動産関連法人の株式等譲渡益課税の措置

 非居住者又は外国法人に係る事業譲渡類似及び不動産関連法人の株式等譲渡益課税について、次の措置が講じられます。

 (1)  非居住者が行う特定目的信託の社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有するものに限られます。)の譲渡が適用対象に追加されます。

 (2)  外国法人が行う特定目的信託の社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有しないものに限られます。)の譲渡が適用対象から除外されます。

適用期日 これらの改正は、資産の流動化に関する法律の一部を改正する法律の施行の日以後に行う特定目的信託の社債的受益権の譲渡について適用されます。


 

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