目次 III-1


III.国際課税制度改正のポイント

1 移転価格税制の見直し

 OECD移転価格ガイドラインの改定等に伴い、国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる移転価格税制)について、次の見直しが行われました。


【1】独立企業間価格の算定方法の適用順位の見直し (措法66の4、68の88)

 現行の独立企業間価格の算定方法の適用優先順位が廃止され、独立企業間価格を算定するために最適な方法を事案に応じて選択する仕組みに改正されました。

 なお、上記の改正に伴い、その円滑な施行に資するよう運用の明確化が図られるとともに、独立企業間価格の算定方法の一覧性を確保する観点から、現行の利益分割法の下位分類として同ガイドラインにおいて認められている算定方法(比較利益分割法、寄与度利益分割法及び残余利益分割法)が明確にされました。

適用期日 この改正は、平成23年10月1日以後に開始する事業年度について適用されます。(税制整備法附57、73)


【2】独立企業間価格幅(レンジ)の取扱いの明確化

 国外関連取引の価格等が、レンジの中にある場合には移転価格課税を行わないこと、また、レンジの外にある場合には比較対象取引の平均値に加え、その分布状況等に応じた合理的な値を用いた独立企業間価格の算定もできることが運用において明確にされました。


【3】シークレットコンパラブルの運用の明確化

 納税者の予見可能性を確保する観点から、シークレットコンパラブル(類似の取引を行う第三者から質問検査等により入手した比較対象取引についての情報)が適用される場合の具体例が運用において一層明確にされるとともに、シークレットコンパラブルを用いる際には、守秘義務の範囲内でその内容が説明されるとの運用が徹底されました。

 

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