目次 VIII-3


3 市民公益税制(寄附税制)

【1】認定NPO法人に係る措置

 国税庁が行う特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)の認定審査について、2回目以降の認定は、原則として、書面審査により行うこととし、適正性の確保については、事後的な実地確認により行うこととされます。併せて、認定手続の簡素化等を図るため、次の見直しが行われます。

(1) 初回の認定を受けようとするNPO法人のパブリック・サポート・テスト等の実績判定期間が2年(原則5年)とすることができる特例の適用期限が1年延長されます。
(2) 認定NPO法人の申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類等
次のとおり簡素化されます。
寄附者名簿について、初回の認定に係る申請書の添付書類であることを明確化するとともに、各事業年度の報告書類から除外し、5年間保存することが義務付けられます。
(注)これに伴い、上記の保存義務違反が認定の取消事由に追加されます。
事業報告書等の所轄庁から入手することができる書類が申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類から除外され、国税庁長官が所轄庁からこれらの書類又はその写しの提出を受けることとされます。
(注) これに伴い、NPO法人が特定非営利活動促進法の規定により所轄庁に対し事業報告書等の提出をしていることが認定要件に追加されます。
「報酬又は給与を得た役員又は従業員の氏名及びその金額に関する事項」が閲覧事項及び各事業年度の報告事項から除外されます。
「社員の親族割合又は特定法人等割合に関する事項」が閲覧事項及び各事業年度の報告事項から除外されます。
「財産の運用及び事業運営の状況等」の書類について、2回目以降の認定申請の際には、既に各事業年度の報告書類に記載した事項の記載が不要とされます。
認定要件の該当性や申請書類の記載内容を確認するための参考書類としてNPO法人が提出を求められる書類をより明確化する観点から、国税庁の「認定NPO法人制度の手引」等にその事例が明示されるなどの施策が講じられます。
(3) NPO法人の認定申請の標準処理期間(6月)が設定がされ、これが国税庁のホームページで公表されます。
(4) 各都道府県庁所在地にある税務署にNPO法人の認定申請の相談窓口が設けられるなど事前相談体制が充実されるとともに、審査体制が強化されます。


【2】所得税の寄附金控除の適用下限額の引下げ

 少額寄附者の裾野の拡大を図るために寄附金控除の適用下限額が2,000円現行5,000円)に引き下げられます。

寄附金控除額
(1)特定寄附金の額 (1)と(2)とのいずれか少ない金額−2,000円(現行5,000円)
(2)総所得金額等×40%

 これまでの寄附金控除の経緯

平成17年度改正 適用上限を総所得金額等の25%を30%へ拡大
平成18年度改正 適用下限額が1万円から5,000円に引下げ
平成19年度改正 適用上限を総所得金額等の30%を40%へ拡大

適用期日 これらの改正は、平成22年分以後の所得税について適用されます。

 

目次 次ページ