目次 II-4


4 その他の相続・贈与税制関係の改正

【1】相続税の障害者控除額の算出の際の年数

 障害者控除は昭和47年(1972年)に創設された制度です。その年の平均寿命は男性が70.50歳で、女性が75.94歳でした。平成20年(2008年)の平均寿命は男性が79.29歳で、女性が86.05歳となっており、いずれも大幅に伸長しています。相続税の障害者控除について、制度創設時からの平均寿命の伸長を踏まえ、控除額の算出に用いる年数を相続人等が85歳(現行70歳)に達するまでの年数とされます。なお、障害者控除は1年につき6万円(特別障害者である場合は12万円)です。

6万円(特別障害者12万円)×85歳(現行70歳)に達するまでの年数

  現行   改正案
障害者控除額算出
に係る年数
70歳 85歳

適用期日 この改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈に係る相続税について適用されます。


【2】非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し

 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、同制度が適用されない外国法人や医療法人等の一定の法人の株式等を会社を通じて保有する場合における認定要件の明確化が図られることとされました。また、この場合において認定を受けたその会社の株式等に係る納税猶予税額の計算上、その法人の株式等相当額が算入されないこととされる等の所要の見直しが行われます。


【3】小規模企業共済制度の加入対象者の拡大

 現在、個人事業の場合は、小規模企業共済制度に加入できるのは、事業主のみとなっています。そこで家族一体で事業が行われることが多い個人事業の実態を踏まえて、事業主の配偶者や後継者をはじめとする共同経営者も小規模企業共済制度の加入対象者とされます。これに伴い、小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者の死亡に伴い支給を受ける一時金について、所要の法律改正を前提に、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とされます。


【4】中小企業退職金共済制度の拡大

 現在、中小企業退職金共済制度に加入できる従業員は、中小企業の事業主に雇用されている従業員となっており、個人事業の場合は、事業主の配偶者及び同一生計の家族従業員は加入できません。(ただし、配偶者以外の家族従業員で、その就労の実態が他の従業員と同様であるなど、事業主との間に雇用関係がある場合には加入できます。)。そこで同居親族のみを雇用することの多い個人事業の実態を踏まえて、中小企業退職金共済制度の加入対象者に同居親族が追加されます。これに伴い、中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される従業員の死亡に伴い支給を受ける一時金について、所要の省令改正を前提に、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とされます。

 

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