目次 III-5


5 優良賃貸住宅等割増償却制度の縮減等

 不動産所得の計算上、必要経費算入の中で、とりわけ大きな比重を占める減価償却費、一定の要件にあてはまる優良賃貸住宅については5年間通常の減価償却費よりさらに多く償却できる割増償却制度があります。

 この優良賃貸住宅等の割増償却制度について、特定優良賃貸住宅に係る措置の割増率を耐用年数35年以上であるものにあっては100分の20(現行100分の28)に、耐用年数35年未満であるものにあっては100分の15(現行100分の21)にそれぞれ引き下げられる上、高齢者向け優良賃貸住宅に係る措置及び改良優良賃貸住宅に係る措置の適用期限が平成19年3月31日まで2年延長されます。

    (現 行)   (改正案)
特定優良賃貸住宅に係る
割増率
(H18.3.31までの新築
に適用)
耐用年数
35年以上
28% 20%
耐用年数
35年未満
21% 15%

適用期日 この改正は、平成17年4月1日以後に取得又は新築した優良賃貸住宅等について適用されます。

  適用期限
  (現 行)   (改正案)
高齢者向け優良賃貸
住宅の割増率
耐用年数
35年以上
 50%
耐用年数
35年未満
 36%
平成17年
3月31日まで
の新築
平成19年
3月31日まで
の新築

特定優良賃貸住宅
 特定優良賃貸住宅とは、特定優良賃貸住宅制度に基づいて建設される賃貸住宅のことで、この制度は、国や地方公共団体の住宅供給計画に基づいて策定された安定的な土地有効活用法で、地主が融資を受け手ファミリータイプの良質な賃貸住宅を建設すれば、それを長期間、住宅供給公社が一括借上げ又は管理受託の方式で賃貸住宅として利用する制度です。
 地主にとって、建設資金の一部を地方公共団体から補助を受けたり、融資についての利子補給があったりとかなりの優遇措置があります。

高齢者向け優良賃貸住宅
 割増償却制度の対象となる高齢者向け優良賃貸住宅とは、共同住宅又は長屋に係る各独立部分で、高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定する認定計画に基づく建築に係るもの(次の要件のすべてを満たすものに限ります。)のその数が5以上である場合におけるその各独立部分(共同住宅にあっては、その各独立部分に係る廊下、階段その他共用に供される部分を含みます。)をいいます。

各独立部分に係る共同住宅又は長屋の整備に要する費用について、その個人が高者居住安定確保法の規定による地方公共団体の補助を受けていること
その床面積(共同住宅にあっては、その各独立部分に係る廊下、階段その他その共用に供される部分の床面積を除きます。)が35平方メートル以上のものであること

一口情報
定期借地権に係る一時金の取扱いの明確化
 今年の改正項目として税制改正大綱等には掲載されていませんが、国土交通省からの照会文書(平成16年12月16日付国土企第14号)に対して、国税庁の文書回答が平成17年1月7日にあった項目として、定期借地権の賃料前払いとしての一時金の取扱いの明確化があります。
 それは、定期借地権の一時金を、一定の契約に基づき賃料の前払いとして一括授受する場合に、借地人、土地所有者それぞれについて、期間に応じた費用化、収益計上を可能とする取扱いの明確化を図るというものです。(下図参照)

 

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