目次 III-1


III.土地・住宅税制はこう変わる


1 特定居住用財産の買換え等の譲渡所得の特例の適用範囲の拡大

 居住用財産を譲渡して譲渡益が発生した場合は、3,000万円の特別控除を差し引くことができますが、居住用財産を買い換えるときには、3,000万円特別控除との選択により、特定の居住用財産の買換特例制度が利用できます。

〈マイホームを売却して譲渡益がでた場合の特例一覧〉
   
 
買換特例を適用する場合 (A)の買換特例適用
相続等により取得した居住用
財産の買換え・交換の特例
マイホームを
売却した場合
(B)の買換特例適用
特定の居住用財産の買換え・
交換の特例
3,000万円特別控除を適用する場合 軽減税率適用の譲渡所得(10年超所有)
長期譲渡所得(5年超所有)
  短期譲渡所得(5年以下所有)

 居住用財産の買換特例制度は(A)、(B)の2種類あって、(A)は相続財産である居住用財産を買い換える場合の特例で、(B)は(A)より適用要件が少し緩いが、買換資産については制限を設けている居住用財産の買換特例です。

 一方、(B)の買換特例は、所有期間が10年を超え、かつ、自己の居住していた期間が10年以上である住宅を譲渡し、「一定の住宅」を取得した場合の特例です。つまり、「特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例」と呼んでいますが、今年の改正では、この特例の適用対象となる買換資産の範囲に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の耐火建築物が加えられます。これにより、築後25年超の中古マンションでも国が定める一定の耐震基準を満たしておれば買換資産として認められることになります。

    買換資産
特定の居住用財産の買換
え及び交換の場合の長期
譲渡所得の課税の特例の
適用対象中古資産
(改正案)


加える
新耐震基準適合耐火建築物
地震に対する安全上必要な
構造方法に関する技術的基
準又はこれに準ずるものに
適合する一定の耐火建築物

適用期日 この改正は、平成17年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、同年4月1日以後に買換資産の取得をする場合について適用されます

 
(A) 相続等の居住用
財産の買換え
(B) 特定の居住用
財産の買換え
譲渡資産の
所有期間
10年超 10年超
譲渡資産の
取得原因
父母等から相続等
により取得
制限なし
譲渡者の
居住期間
30年以上 10年以上
買換資産の
範囲
制限なし 建物の床面積50平方メートル〜280平方メートル
土地の面積は500平方メートル以下
中古の耐火建築物は築後25年以内あるいは、
譲渡資産の
譲渡期限
制限なし 平成18年12月31日まで
  改正案
地震に対する安全上必
要な構造方法に関する
技術的基準又はこれに
準ずるものに適合する
一定の耐火建築物は25
年超でも可


★居住用財産の買換特例の内容
譲渡資産の
譲渡価額
買換資産の
取得価額
の場合→ 譲渡所得は課税されません。
譲渡資産の
譲渡価額
買換資産の
取得価額
の場合→ その超える部分についてのみ、その資産の譲渡があったものとされ、譲渡所得は次の算式によって計算されます。

収入金額
  必要経費
譲渡資産の
譲渡価額(1)
買換資産の
取得価額(2)
譲渡資産の
取得費
譲渡費用 × (1)−(2)
(1)

 

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