II-2 |
2 相続した非上場株式等を発行法人に譲渡した場合のみなし配当課税特例の創設 |
個人が、非上場株式を発行会社に譲渡した場合、「みなし配当課税」が生じます。ところが、上場株式の場合、上場会社等の市場買付け又は公開買付けによる自己株式の取得に応じて株式を発行法人に売却した場合には「みなし配当」課税を行わず、株式の譲渡所得課税のみとなります。このように上場会社株式と非上場会社株式の大きな税負担の差が発行会社に売却した時に生じます。
同族会社のオーナーに相続が発生し、相続人がその非上場株式を売却して納税資金に充てる場合、流通性が乏しいことから、発行会社に買い取らせるケースが多く、その場合、売却した相続人には、多額の「みなし配当」課税が課され、最高で50%(37%の所得税と13%の住民税)、配当控除を考慮しても43.6%の高率課税がなされます。 一方、上場株式の場合はみなし配当課税はされず、現行で10%の上場株式の譲渡の申告分離課税で完了してしまいますので、上場株式と非上場株式との税負担の大きいギャップが問題となっています。 さらには、相続税の申告期限の翌日以後3年以内に相続で取得した株式等を売却した場合にも「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」はみなし配当による配当所得では適用を受けることができず、ここでも上場株式に比べ重い税負担となっています。 そこで今回の改正案では、相続又は遺贈による財産の取得をした個人でその相続又は遺贈につき相続税があるものが、その相続の開始があった日の翌日からその相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間にその相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された非上場株式をその非上場株式の発行会社に譲渡した場合について次の措置が講じられます。
|