目次 I-土地1


〔土地税制〕

1 土地、建物等の長期譲渡所得の課税特例の軽減等

 個人は1月1日〜12月31日の1年間に得たすべての所得を合算して課税する総合課税が原則ですが、土地や建物等を譲渡して得た所得などについては、他の所得と合算しないで課税する、いわゆる「分離課税の譲渡所得」方式がとられています。

 「分離課税の譲渡所得」は土地、建物等で、譲渡年の1月1日における所有期間が5年を超えるものの譲渡所得が分離長期譲渡所得となり、その所有期間が5年以下のものの譲渡所得が分離短期譲渡所得となります。さらには、これらの所得が次表のように5つに区分され、それぞれの所得ごとに異なった方法により税額を計算することになっています。

分離課税の
譲渡所得
分離長期
譲渡所得
(1)一般所得(土地建物等の長期譲渡所得で(2)(3)以外のもの
(2)特定所得(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した所得)
(3)軽課所得(所有期間10年超の居住用財産を譲渡した所得)
分離短期
譲渡所得
(4)一般所得(土地建物等の短期譲渡所得で(5)以外のもの)
(5)軽減所得(土地等を国や地方公共団体等に譲渡した所得)

譲渡所得金額
譲渡価額
(譲渡収入)
譲渡資産
の取得費
譲渡
費用
特別控除額等


[1]土地、建物等の長期譲渡所得の税率等の引下げ

 長期譲渡所得の課税の特例について、平成11年1月1日から平成12年12月31日までの譲渡については一律26%(所得税20%、住民税6%)とされ、この一律26%の長期譲渡所得の軽減措置が平成13年度改正で3年間延長され、平成15年12月31日まで適用されていました。

 そして今回の改正案では、この税率26%がさらに20%(所得税15%、住民税5%)に引き下げられることになります。

    (現 行)   (改正案)
長期譲渡所得の税率   26% 20%
所得税20%
住民税 6%
所得税15%
住民税 5%

 この改正は、平成16年1月1日以後に行う、土地、建物等の譲渡について適用されます。

【参 考】 個人の譲渡益課税(長期)の変遷



[2]優良住宅地の造成等のための長期譲渡所得の課税特例の税率引下げ等

 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得については、一定の証明書を確定申告書に添付することにより、他の課税所得の額に関係なく、課税長期譲渡所得金額が4,000万円以下の部分は税率20%(所得税15%、住民税5%)、4,000万円を超える部分は26%(所得税20%、住民税6%)の軽減税率が適用できます。

 今回の改正案では、この課税長期譲渡金額が2,000万円以下の部分は税率14%(所得税10%、住民税4%)、2,000万円を超える部分は20 %(所得税15%、住民税5%)に引き下げたうえ、適用期限が平成20年12月31日まで5年延長されます。

    (現 行)   (改正案)
特別控除後の譲渡益  
4,000万円以下の部分
20% 所得税15%
住民税 5%
2,000万円以下の部分
14% 所得税10%
住民税 4%
4,000万円以下の部分
26% 所得税20%
住民税 6%
2,000万円以下の部分
20% 所得税15%
住民税 5%

 譲渡益2,000万円以下の部分に対して軽減税率14%(所得税10%、住民税4%)を乗ずることになりますが、今回の改正案では、次に該当する特例を適用した場合には、この軽減税率の特例は適用できなくなりますのでご注意ください。

改正案(重複適用不可) (1) 収用交換等により代替資産を取得した場合の課税の特例
(2) 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
(3) その他の課税繰延べの場合の課税の特例
(4) 収用交換等の場合の5000万円特別控除
(5) 居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除
(6) 特定土地区画整理事業等の場合の2000万円特別控除
(7) 特定住宅地造成事業等の場合の1500万円特別控除
(8) 農地保有合理化等の場合の800万円特別控除

適用期日  これらの改正は、平成16年1月1日以後に行う、土地、建物等の譲渡について適用されます。

 

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