目次 I-土地4


4 土地、建物等の譲渡所得の損失と他の所得との損益通算の廃止

 現行では個人の確定申告において、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の損失(損益通算の対象とならない損失に該当するものを除きます。)に限り、他の黒字の各種所得の金額と損益の通算をすることができます。

 例えば不動産所得が黒字30、事業所得が黒字20、譲渡所得の損失が15あれば通算できますので、その人の所得は35(30+20−15)ということになります。これが損益通算です。

 今回の改正案では、土地、建物等の長期譲渡所得の金額又は短期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については、土地、建物等の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降への繰越しが認められないことになります。

(改正案) 新設 土地、建物等の
譲渡損失
他の所得との損益通算不可
翌年以降への繰越控除不可

 この改正は、平成16年1月1日以後に行う土地、建物等の譲渡について適用されます。


一口情報 密集市街地の整備促進のための特例措置の創設
 密集市街地における防災街区整備事業等に資するための措置が講じられます。
(1)  優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等
  (a)  適用対象に、防災街区整備事業を行う施行者に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該事業の用に供されるもの(一定の土地等の譲渡に該当するものを除く。)が加えられます。
  (b)  適用対象となる防災街区整備推進機構の行う土地の先行取得業務の範囲に、特定防災街区整備地区内の土地及び防災都市施設の整備の用に供するために必要な土地の取得等の業務が加えられます。
(2)  (1)の他、収用等の場合の5,000万円特別控除等、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例、特定土地区画整備事業等のための2,000万円特別控除、特定住宅地造成事業等のための1,500万円特定控除、特定の資産の買換え特例等の適用対象も改正されます。
(3)  その他防災街区整備事業の施行者、地区内残留者、地区外転出者及び地区内転入者について、市街地再開発事業等と同様の税制上の措置を講ずるなど密集市街地の整備・改善のための税制上の特例措置が講じられます。(所得税、法人税、登録免許税、印紙税、住民税、事業税、不動産所得税、固定資産税、事業所税)

 

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