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V.法人税制はこう変わる |
1 試験研究費の総額に係る税額控除制度の創設 |
厳しい経済状況の下、研究開発の分野でも合理化、効率化が進められる中で試験研究費の額が増加した場合等に税額控除を行う現行制度が有効に機能しなくなっている面があり、見直す必要があることから、今回、改正されます。 試験研究費が増加した場合のみにしか税額控除が認められない現行制度とは異り、今回の改正案では、試験研究費の総額について税額控除が認められることになります。さらに税額控除限度額の繰越控除(1年間)も可能となります。
【1】 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の創設 新制度は、増加試験研究費の特別税額控除制度との選択制で、試験研究費の総額に対し次の税額控除率による特別税額控除ができることになります。ただし、当期の法人税額の20%を限度とします。 (1) 特別税額控除率は、試験研究費の総額の売上金額(当期を含む4年間の平均売上金額)に対する割合(以下「試験研究費割合」といいます。)に応じ、次のとおりとします。
※税額控除率は当期の法人税額の20%が限度とされます。
【2】 産学官連携の共同研究・委託研究に係る特別税額控除制度の創設 大学、公的研究機関等との共同試験研究及びこれらに対する委託試験研究について、前記縡と合わせてこれらの試験研究に係る試験研究費の額の12%相当額の特別税額控除ができることになります。ただし、【1】の特別税額控除と合計して、当期の法人税額の20%相当額が限度とされます。 なお、3年間の時限措置として、上記の特別税額控除率(12%)に3%上乗せされ特別税額控除率が15%とされます。
【3】 中小企業技術基盤強化税制の拡充 中小企業技術基盤強化税制においては、大企業とは異なり、試験研究費の総額による税額控除が既に認められています。今回の改正案では、現行の制度を存置させたうえで、中小企業技術基盤強化税制について、増加試験研究費の特別税額控除制度並びに上記【1】及び【2】の特別税額控除制度の適用に代えて、試験研究費の総額の12%(現行6%(平成15年3月31日までは10%))相当額の特別税額控除が認められます。ただし、当期の法人税額の20%相当額が限度とされます。 なお、3年間の時限措置として、上記特別税額控除率に3%が上乗せされ、特別税額控除率が15%とされます。
【1】の特別税額控除の適用は試験研究費割合に影響されますが、中小企業技術基盤強化税制による場合は、それとは関係なしに15%の特別税額控除の適用を受けることができます。 しかし、【3】中小企業技術基盤強化税制を選択した場合には、【1】の試験研究費の総額に係る特別税額控除制度と【2】の産学官連携の共同研究等に係る特別税額控除制度の適用は重複して受けることはできません。 【4】 税額控除限度超過額の繰越控除(1年) 前1年以内に開始した事業年度において、上記【1】〜【3】までの特別税額控除制度による控除をしても控除しきれない金額(税額控除限度超過額)がある場合に、その事業年度の試験研究費の総額が前事業年度の試験研究費の総額を超えるときは、税額控除限度超過額の繰越控除ができます。 ただし、当期における【1】〜【3】までの特別税額控除額と合計して、当期の法人税額の20%相当額が限度とされます。 【5】 試験研究費等の範囲の見直し 試験研究費の範囲から、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法の商工組合等が賦課する負担金等が、特別試験研究費の範囲から、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法の承認事業者等が行う試験研究に係る試験究費が除外されます。 【6】 増加試験研究費の特別税額控除制度の適用期限の延長 増加試験研究費の特別税額控除制度の適用期限(現行=平成15年3月31日)が平成18年3月31日まで3年間延長されます。
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