IV-3 |
3 証券税制の見直し |
【1】 上場株式等に係る譲渡所得等に関する優遇措置の見直し (1) 平成15年1月1日以後5年間に上場株式等を譲渡した場合における上場株式等に係る譲渡所得等の金額について、源泉分離課税制度(譲渡収入の1.05%)の廃止に伴い、申告分離課税の税率は10%(所得税7%、住民税3%)の優遇税率により課税する特例が創設されます。 (2) (1)の特例の創設に伴い、次の特例が廃止されます。
個人が平成13年10月1日から平成17年12月31日までの間に行う、所有期間が1年を超える長期所有上場特定株式等を譲渡した場合における申告分離課税の適用については、一定の要件のもと、その年分の長期所有上場特定株式等の譲渡所得の金額から100万円の特別控除が差し引かれるという特例措置は廃止されます。 同様に、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの3年間に、その所有期間が1年を超える上場株式等の譲渡をした場合には、一定の要件のもとで、その譲渡による譲渡所得等については、10%(所得税7%、住民税3%)の暫定税率により課税されるという平成13年11月に成立した暫定税率の特例は一度も実施されることなく廃止されることになります。
【2】 特定口座制度の改善・簡素化 (1) 源泉徴収方式の改善(年間分一括納付方式への変更) (1) 平成16年以後の源泉徴収口座(源泉徴収を選択した「特定口座」をいいます。)における源泉徴収の方式を、譲渡等のつど(現行・毎月)、証券業者がその源泉徴収口座に係る年初からの通算所得金額の増減額の15%(平成19年までは7%)相当額の所得税の源泉徴収又は還付を行うとともに、年末において還付されずに残っている源泉徴収税額を原則として翌年1月10日までに一括して納付する方式に改められます。 このように毎月納付する方式から、取引ごとに年初からの通算所得の増減額に税率を乗じて源泉徴収・還付を行い、翌年1月10日に一括納付する方式に改められることで源泉所得税の徴収されすぎが解消されます。 (2) 平成15年中の源泉徴収口座については、15 %(平成15年4月以降は7%)の税率による源泉徴収並びに月ごとの納付及び還付の仕組みを維持したうえ、証券業者が源泉徴収口座においてその年中に源泉徴収をした所得税の合計額(還付をした金額を除きます。)のうち、その源泉徴収口座に係る年間通算所得金額の7%相当額を超える部分の金額をその源泉徴収口座を開設した者に還付する措置が講じられます。このように15年分についても投資家の還付申告を不要とするため、証券会社が税務署に代わって還付をする方法で対応することになります。 (3) 道府県民税株式等譲渡所得割の創設 平成16年1月1日以後における源泉徴収口座(所得税において源泉徴収を選択した特定口座をいいます。)内の株式等の譲渡による所得について国税と同様、住民税についても確定申告不要制度を導入するため道府県民税に株式等譲渡所得割が創設されます。これにより証券会社による特別徴収(税率5%、平16.1.1〜平19.1231は3%)で課税関係は終了し新たに地方税の納付は必要なくなります。また、平成15年中の株式譲渡についても申告が不要となるよう特例等所要の措置が講じられます。 (2) 年間取引報告書の省略 源泉徴収口座に係る特定口座年間取引報告書について、税務署長への提出を不要とする措置がとられます。 (3) 「タンス株」(自己保管上場株式等)の受入れ 平成15年4月1日から平成16年12月31日までの間に限り、一定の要件の下で、源泉徴収口座又は簡易申告口座(源泉徴収口座以外の特定口座をいいます。)に、自己が保管している上場株式等その他一定の上場株式等を、実際の取得日及び取得価額又はみなし取得日(平成13年9月30日)及びみなし取得価額(平成13年10月1日の価額の80%相当額)で受け入れることができることになります。
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