目次 IV-1


IV.金融・証券税制はこう変わる


1 配当課税制度の見直し

 現行の配当課税制度は、配当金額や持株比率によって、20%の源泉徴収(確定申告不要、住民税非課税)、35%の源泉分離課税、そして総合課税(20%源泉徴収)と3通りあります。

 平成15年4月1日以後に支払を受ける一定の上場株式等の配当等について、源泉徴収税率を15%(本則20%)に軽減する特例と、道府県民税5%の配当割の創設を行い、さらに、少額配当の申告不要の特例の対象となる配当等のうち、平成15年4月1日以後に支払を受ける一定の上場株式等の配当等については、1回の支払金額に係る適用上限(5万円)を撤廃し、住民税の非課税措置(少額配当の所得割の非課税)が廃止されます。

 また、株式等に係る配当所得の35%源泉分離選択課税の特例は、平成15年3月31日をもって廃止されます。

 以上の改正によって、平成15年4月1日からは、受け取る配当金額に関係なく一律20%(所得税15%、住民税5%)の源泉徴収のみで確定申告が不要ということになります。ただし、従来からの配当控除を利用した方が有利な者も存在するため、20%源泉徴収を行った上で、確定申告を行う総合課税制度との選択ができる余地は残されています。

 この20%の税率についても、平成15年4月1日以後5年間は10%(所得税7%、住民税3%)の優遇税率が適用されます。3月期決算企業の場合、平成15年6月下旬に支払われる分の配当から税率は10%になります。

 ただし、住民税5%(優遇税率3%)の配当割特別徴収は平成16年1月1日以後となるため、平成15年4月1日から平成15年12月31日までは所得税の源泉徴収税率が10%で、平成16年1月1日から平成20年3月31日までは、そのうち3%が住民税となり、所得税7%、住民税3%ということになります。




参考  総合課税において配当控除の適用があります。
・配当控除率所得税住民税   所得税   住民税
  ・課税所得金額が1,000万円以下の部分   10%   2.8%
  ・課税所得金額が1,000万円超の部分   5%   1.4%

 

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