目次 II-4


4 固定資産税の負担軽減措置の継続

 固定資産税は、土地などの評価額(課税標準)に税率(標準税率1.4%)を乗じて算出されます。

 土地の評価額は、3年毎に見直され、平成15年度はその評価替えの年度に当たります。

 国土交通省の発表でも明らかなとおり、地価は毎年下落していますが、評価替えの実施により、固定資産税が大幅な減収となること、市町村財政が極めて厳しい状況であること等を踏まえ、商業地等の宅地に係る課税標準の上限(評価額の70%)を維持するとともに、課税の公平の観点から、引き続き負担水準の均衡化を図る措置が実施されることになっています。


【1】商業地等の宅地の負担調整措置

   負担水準= 前年度の課税標準額

当該年度の評価額
×100(%)

(1) 平成15年度の負担水準が70%を超えることとなる土地については、課税標準額を評価額の70%とした場合の税額まで引き下げられます。
(2) 平成15年度の負担水準が60%以上70%以下の土地については、一律に前年度の税額の据置措置が講じられます。
(3) 平成15年度の負担水準が60%未満の土地については、負担水準に応じてなだらかな税の負担調整措置を講じることとし、負担水準に応じて次表に掲げる負担調整率を毎年度、前年度分の固定資産税の課税標準額に乗じて得た額を課税標準とした場合の税額とされます。

負担水準 負担調整率
40%以上60%未満のもの
30%以上40%未満のもの
20%以上30%未満のもの
10%以上20%未満のもの
10%未満のもの
1.025
1.05
1.075
1.1
1.15


【2】住宅用地の負担調整措置

   負担水準= 前年度の課税標準額

当該年度の評価額×住宅用地特例率(6分の1又は3分の1)
×100(%)

(1) 住宅用地のうち負担水準が80%以上の土地については、一律に前年度の税額の据置措置が講じられます。ただし、負担水準が100%を超える場合は本則課税による税額まで下げられます。
(2) 住宅用地のうち負担水準が80%未満の土地については、負担水準に応じてなだらかな税の負担調整措置が講じられ、負担水準に応じて次表に掲げる負担調整率を毎年度、前年度分の固定資産税の課税標準額に乗じて得た額を課税標準とした場合の税額とされます。

負担水準 負担調整率
40%以上80%未満のもの
30%以上40%未満のもの
20%以上30%未満のもの
10%以上20%未満のもの
10%未満のもの
1.025
1.05
1.075
1.1
1.15

住宅用地の場合は、課税標準を評価額の3分の1(住宅1戸当たり200平方メートルまでの小規模住宅用地については6分の1)に圧縮するなどの軽減措置があり、商業地等に比べて税負担は少なくて済みます。


【3】著しい地価下落に対応した臨時的な税負担の据置措置

 地価の下落傾向等にかんがみ、都市部を中心とした大幅な地価の下落による納税者の負担感に配慮し、平成9年度から講じられている臨時的な税負担の据置措置が継続されます。

 具体的には、税負担が上昇することとなる土地であっても、下の表の(A)(B)の2つの要件のいずれも満たすものは、前年度の税額がそのまま据え置かれます。

一口情報 不動産譲渡契約書等の印紙税の税率特例の延長
 不動産譲渡契約書及び建設工事請負契約書に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限が、平成17年3月31日まで2年間延長されます。

(A) その土地の負担水準が商業地等は45%以上、小規模住宅用地は55%以上、一般住宅用地は50%以上であること。
(B) その土地の3年間の評価額の下落率が全国平均(マイナス15%)以上であること。


【4】平成16年度及び平成17年度における価格の修正

 固定資産税の評価額は、地方税法上、基準年度(平成15年度が該当)の価格を3年間据え置くこととされていますが、据置年度である平成16年度及び平成17年度には、地価に関する指標からさらに下落傾向が見られる場合は、簡易な方法により価格の修正ができる特例措置が講じられます。


【5】農地に係る固定資産税の負担調整措置

 一般農地に係る固定資産税については、負担水準に応じて次の表に掲げる負担調整率を毎年度、前年度の固定資産税の課税標準額に乗じて得た額を課税標準とした場合の税額を限度として課税されます。
 なお、一般市街化区域農地に対する固定資産税について、課税標準額の上限を評価額の3分の1とする等の措置が講じられます。

負担水準 負担調整率
90%以上のもの
80%以上90%未満のもの
70%以上80%未満のもの
70%未満のもの
1.025
1.05
1.075
1.1


一口情報 特別土地保有税の凍結
 特別土地保有税は、土地の保有又はその取得に対し、その土地所在の市町村がその土地の所有者又は取得者に課す地方税です。今回の改正案では、現下の経済情勢等にかんがみ、平成15年度以降、新たな課税は行われないことになります。
 なお、平成15年度以降において徴収猶予を受けている土地について計画変更等を行う場合に、非課税等特別措置の適用を受ける場合があるため、所要の改正が行われます。もともと特別土地保有税は、土地投機の抑制及び土地供給の促進を目的として昭和48年度に創設されましたが、その後の改正により現在までは未利用地の有効利用を促進する市町村税となっています。


 

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