目次 はじめに



 本コンテンツは平成15年度税制改正法案に基づいて作成していますが、この法案は第156回国会(通常国会)において、3月28日に原案どおり可決成立しました。
 したがって、本コンテンツ内における表記につきましては、「現行」とあるものは「改正前」、「改正案」とあるものは「改正後」と読み替えてご利用ください。


は じ め に

 小泉政権下で二度目の税制改正となる平成15年度税制改正は、以前にも増して不良債権処理、デフレ対策に対する取組みや国際競争力が問われるなか、「経済活性化のため」と位置付けられたもので、国民の現在と将来不安を最小限に抑え、安心できる公共サービスを提供できること、財政の健全性を維持しつつ、新たな飛躍に応えうる財政体質を目指したものです。

 その中で、特に画期的なのが、65歳以上の親から20歳以上の子に生前贈与した場合、生前に支払った贈与税額を、親の死亡時に相続税額から差し引いて精算するという相続税・贈与税の一体化方式、いわゆる「相続時精算課税制度」が創設されたことです。この新制度では、生前贈与時に最高2,500万円(住宅取得資金贈与の場合は、65歳未満の親からの贈与も適用対象に含めて最高3,500万円)までは非課税とされるなど、シャウプ勧告以来の大改正となります。

 また、土地・住宅税制関係では、登録免許税の税率引下げ、不動産取得税の軽減などにより土地の流動化が図られることとされるほか、転勤者の再入居に係る住宅ローン控除の再適用制度も導入されます。

 さらに、平成6年12月改正以来の大改正となった消費税は、事業者免税点制度の適用上限の3,000万円から1,000万円への引下げや簡易課税制度の適用上限の2億円から5,000万円への引下げなどが行われます。

 一方、当面の市場活性化を目指した金融・証券税制関係では、上場株式等の配当・株式投資信託などに係る税率と株式の譲渡益に係る税率を原則20%に揃え、当初の5年間はその税率を10%に軽減するなど思い切った軽減・簡素化が図られます。

 その他、減税となるものとして、今回の改正で最大規模となる法人税の試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の創設や中小企業の留保金課税・交際費課税の緩和等、IT投資促進税制の創設等の改正も行われます。反対に増税となるものとして、専業主婦の税負担を軽減している配偶者特別控除の上乗せ分の廃止、地方税の法人事業税における外形標準課税制度の導入、発泡酒・ワインに係る酒税及びたばこ税の引上げです。

 このように本年は例年以上に改正項目も多いうえ、複雑さも例年の比ではありません。ここでは、これらの改正事項の要点を体系化・図形化し、要所には計算例や事例も入れて、分かりやすく解説しました。資産家や経営者の方又は実務家の皆様のお役に立てれば幸いです。

 

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