目次 V-2


2 同族会社の留保金課税の軽減措置

 同族会社においては、経営者=オーナーである場合が多く、会社に利益が出てもオーナー個人の所得税等のバランスから配当にまわすことを避けるため、会社に留保することになります。この留保金額が一定金額以上になると通常の法人税とは別に特別の法人税の課税が行われます。これが同族会社の留保金課税制度です。

 また、平成12年度の税制改正により、中小企業やベンチャー企業への支援策として一定の条件を満たす同族会社について留保金課税を一定期間適用停止とする不適用措置が講じられました。

 今年の改正では、長びく景気低迷から、資金繰りや雇用調整など経済環境が一段と厳しさを増すなか、中小企業の税負担を緩和し、活性化を促す意味から、適用停止中の同族会社の留保金課税制度を延長するとともに、この不適用措置の対象に新たに試験研究費や開発費の額が収入金額の3%超になる中小企業者を加えることや、中小法人に対する留保金課税を5%軽減する措置が盛り込まれました。

現行の留保金課税制度




〈平成12年度改正〉
 中小・ベンチャー企業を支援する観点から、次の法人については、同族会社の留保金課税を適用しないこととされました。

(1) 設立後10年以内の新事業創出促進法の中小企業者に該当する会社(注1)
(2) 新事業創出促進法の認定事業者(主務大臣の認定を受けた計画に係る新事業分野開拓を実施する会社。いわゆるベンチャー企業。)(注2)

(注1)  新事業創出促進法に定める中小企業者
 製造業……資本金3億円以下又は従業員300人以下
 卸売業……資本金1億円以下又は従業員100人以下
 サービス業・小売業…… 資本金5,000万円以下又は従業員100人以下(小売業は50人以下)
 また、設立後10年とある「設立の日」とは、他の会社に株式を50%以上保有されている等の場合には、当該会社と当該他の会社の設立のうちいずれか早い日をいいます。

(注2)  主務大臣の認定を受けた計画に係る新事業分野開拓を実施する場合であれば、企業規模にかかわらず認定事業者になることができます。


(1) 留保金課税不適用対象の追加と延長

 同族会社の留保金課税制度では、上記(1)(2)については特別税率が不適用となっていましたが、新たに次に該当する法人も対象となることになり、この特別税率の不適用措置も平成16年3月31日(現行平成14年3月31日)まで2年延長されました。

(3) 中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の中小企業者に該当する法人で前事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額及び開発費の額の合計額の収入金額に対する割合が3%を超えるもの


(2) 中小法人に対する税額の5%軽減

 今年の改正では、資本金1億円以下の中小法人については、税額の5%相当額が軽減されました。
 したがって、平成14年4月1日以後開始する事業年度から2年間の措置として、次の算式のように留保金課税額の5%が軽減されます。

 

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