〔連結納税制度に伴う法人税課税ベースの拡大〕 IV-1 |
1 受取配当の益金不算入制度の見直し |
受取配当の益金不算入制度の見直しは、連結納税制度導入に伴う税収不足を補う財源措置として浮上してきたものです。 受取配当の益金不算入額を計算する過程で、総資産按分法により控除される負債利子の算定では支払利子から特定利子を除外していましたが、改正では特定利子を除外できなくなり、したがって結果的には受取配当の益金不算入額が減少します。 さらには特定株式等以外の株式の受取配当金については、現行の益金不算入割合80%が50%に引き下げられ、厳しい状況を映し出しています。 なお、中小法人や協同組合等に関しては経過措置が施されています。 (1) 特定利子に係る措置を廃止 受取配当金は営業外収益として決算上は法人の利益を構成しますが、法人税法の考え方からすれば、配当は支払った法人側では課税済の所得から支払ったものであり、受け取った側でさらにこの配当に対して課税するとなると二重課税になります。したがって二重課税を排除する制度として受取配当等の益金不算入制度が設けられています。
■控除される負債利子の計算 借入れ等を行い株式等を購入した場合、受取配当が益金不算入、それに係る支払利子が損金算入では理論的にも整合性がありません、そこで受取配当の額から、その株式等を購入するための借入金に相当する支払利子を益金不算入額から控除することになります。 この負債利子の控除方法には総資産按分法と簡便的方法とがあります。
〈簡便法〉……基準年度の負債利子の控除割合により計算しますが、詳細は省略します。 改正案では、受取配当の益金不算入制度で、総資産按分法の算定で支払利子から金融機関以外の一般法人が株式等の取得以外で支払う特定利子を控除している現行法が改められ、控除できないことになります。つまり、受取配当の益金不算入額から差し引く負債利子の額が増加し、その分、益金不算入額が減少するということになります。 (2) 益金不算入割合の引下げ 特定株式等以外の株式については、現行の80%から益金不算入割合が50%に引き下げられます。なお、特定株式等の100%はそのまま存続します。
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