目次 〔平成14年度改正〕 II-3


3 株式譲渡益課税の申告不要制度の導入

 個人が証券会社を通じて株式取引で得た利益に係る株式譲渡益課税について、簡単に納税できる「申告不要制度」の導入が決まりました。

 この「申告不要制度」は、株式売却額の1.05%を証券会社が納税者に代わって税金を源泉徴収する源泉分離課税制度が平成14年12月末で廃止され、申告分離課税に一本化されるのに伴って平成15年1月1日から導入されるものです。


 この制度は、一般個人投資家が平成15年からの申告分離課税制度への一本化に伴う、申告事務の負担軽減に配慮して講じられた措置です。

 個人が、証券会社に一定の要件を満たす「特定口座」(一の証券会社につき一口座に限られます。)を設定し、その「特定口座」を通じて取得等をした上場株式等で、その「特定口座」で管理されているもの(以下「特定口座内上場株式等」といいます。)を譲渡した場合、「特定口座」以外で、「特定口座内上場株式等」と同一銘柄の上場株式等を有していても、これらの同一銘柄の上場株式等は、それぞれ銘柄が異なるものとして、譲渡所得の計算をすることになります。

 「特定口座」内の「特定口座内上場株式等」を譲渡した場合には、証券会社はその譲渡代金の支払の際、一定の方法により計算をした差益について、15%の税率による所得税を徴収し、これを翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。

〈株式譲渡益課税の申告不要制度〉


 この場合において、その個人が株式等の譲渡所得等について確定申告する際には、その「特定口座内上場株式等」の譲渡による譲渡所得等の金額を除外して確定申告を行うことができます。

 証券会社は、その年の「特定口座内上場株式等」に係る年間譲渡損益その他一定の事項を記載した「年間取引報告書」を作成し、これを、翌年1月31日までに、「特定口座内上場株式等」の譲渡の対価の支払調書の提出に代えて、その証券会社の所在地の所轄税務署長に提出するとともに、個人本人に交付します。上記の改正は、平成15年1月1日から実施されます。

 個人住民税についても、所得割の納税義務者本人に代わり、「特定口座内上場株式等」に係る年間譲渡損益などを記載した「年間取引報告書」を証券会社が1月末日までに市町村長に提出することになりました。


  ただし、1月1日現在において、一定の特定口座を有する所得割の納税義務者が、次のいずれかに該当する場合には、道府県民税及び市町村民税の申告書を提出することを要しません。

 (1)  前年中に「特定口座内上場株式等」の譲渡に係る所得以外の所得がなかった者
 (2)  給与支払報告書を提出する義務がある者から1月1日現在において給与の支払を受けている者で、前年中において「特定口座内上場株式等」の譲渡に係る所得及び給与所得以外の所得がなかった者
 (3)  公的年金等支払報告書を提出する義務がある者から1月1日現在において公的年金等の支払を受けている者で、前年中において特定口座内上場株式等の譲渡に係る所得及び公的年金等に係る所得以外の所得がなかった者

 なお、上記の改正は平成16年度以後の年度分の個人住民税について適用します。

 

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