―減額対象面積が特定事業用400平方メートル、特定居住用240平方メートルに引上げ―
相続又は遺贈によって取得した財産のうちに、相続開始の直前において、被相続人等(被相続人及び被相続人と生計を一にしていた親族をいいます。)の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利〔借地権〕をいいます。)がある場合には、相続等により財産を取得した者に係るすべての宅地等の200平方メートル又は330平方メートル(現行)までの部分のうち、その相続人等の取得した宅地等(小規模宅地等)については、通常の価格にそれぞれの区分に応じた80%又は50%の割合(下表)を乗じて得た金額を減額して課税価格を計算します。
今回の改正案では、そのうち特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び国営事業用宅地等の特例の適用対象面積が330平方メートルから400平方メートルに、特定居住用宅地等の特例の適用対象面積が200平方メートルから240平方メートルにそれぞれ拡大されます。
適用時期 |
この改正は、平成13年1月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されます。 |
区 分 |
減額割合 |
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居住用宅地 |
特定居住用宅地等(被相続人等と同居していた親族が引き続き居住している場合など) |
80% |
200 |
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240 |
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上記以外 |
50% |
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事業用宅地 |
特定事業用宅地等(被相続人等が営んでいた事業を引き続き営んでいる場合など) |
80% |
330 |
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400 |
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上記以外 |
50% |
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国営事業用宅地 |
国営事業用宅地等(特定郵便局舎用宅地等を引き続き国の事業の用に供する場合) |
80% |
330 |
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400 |
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上記以外 |
50% |
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貸付用宅地 |
被相続人等が不動産貸付けの用に供していた場合 |
50% |
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同族会社の事業用宅地 |
特定同族会社事業用宅地等(申告期限まで引き続きその同族会社の事業の用に供される場合) |
80% |
330 |
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400 |
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上記以外 |
50% |
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A 特定居住用宅地等(減額割合80%適用)
特定居住用宅地等とは、具体的には、被相続人等が居住の用に供していた宅地等で、その相続又は遺贈によってその宅地等を取得した個人のうちに、被相続人の配偶者又は次に掲げる要件のいずれかを満たすその被相続人の親族がいる場合の、その宅地等をいいます。
(1) |
親族が相続開始の直前にその宅地等の上にある被相続人の居住用家屋に同居していた者で、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その家屋に居住していること |
(2) |
被相続人の居住用宅地等を取得した親族が、相続開始前3年以内にその者又はその者の配偶者の持家(相続開始直前に被相続人が居住していた家屋を除きます。)に居住したことがない者であり、かつ、申告期限まで引き続きその宅地等を有していること(この規定は、被相続人の配偶者又は相続開始直前に(1)の家屋に居住していた法定相続人がいない場合に限り適用されます。) |
(3) |
親族が被相続人と生計を一にしていた者で、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始直前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の居住の用に供していること |
B 「特定郵便局舎用宅地等」(減額割合80%適用)
「特定郵便局舎用宅地等」とは、郵政事業庁設置法第5条に規定する郵便局で、国が設置するもの以外のもの(いわゆる「特定郵便局」)の用に供されている建物の敷地とされている宅地等をいいます。
〈80%減額割合が適用される特定郵便局舎用宅地等の範囲〉
特定郵便局の敷地の用に供されている宅地等で、相続等によりその宅地等を取得した個人のうちに被相続人の親族がおり、その親族から相続開始後5年以上その宅地等を特定郵便局の敷地の用に供するために借り受ける見込みであることにつき地方郵政局長(沖縄にあっては、沖縄総合通信事務所長)が証明した宅地等について、80%の減額割合が適用されます。
C 特定同族会社事業用宅地等(減額割合80%適用)
特定同族会社事業用宅地等とは、相続開始直前に被相続人等が発行済株式の50%以上を有する法人の事業(不動産貸付業等を除きます。)の用に供されていた宅地等で、相続等によりその宅地等を取得した個人のうちに、被相続人の親族(申告期限において、その法人の役員であるものに限ります。)がおり、その親族が申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、申告期限まで引き続きその法人の事業の用に供されている場合のその宅地等をいいます。
D 特定事業用宅地等(減額割合80%適用)
特定事業用宅地等とは、具体的には、被相続人等が事業の用に供していた宅地等で、その相続又は遺贈によってその宅地等を取得した個人のうちに、次に掲げる要件のいずれかを満たすその被相続人の親族がいる場合の、その宅地等をいいます。
(1) |
被相続人の親族が、相続開始時から相続税の申告期限までに、その宅地上で被相続人が営んでいた事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続いてその宅地等を所有し、かつ、その事業を営んでいること |
(2) |
被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始時から相続税の申告期限まで、引き続いてその宅地等を所有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続いてその宅地等を自己の事業の用に供していること |
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上記「事業」の範囲には、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業(これらは、その規模、設備の状況及び業態等を問いません。)及び準事業たる不動産貸付業は、含まれません。したがって、これらの事業に該当する場合は、すべて50%の減額割合になります。 |
〈特定事業用宅地と特定居住用宅地の両方を有する場合の調整方法〉
特定事業用宅地320平方メートルと特定居住用宅地120平方メートルの両方を有する場合 |
▲特定事業用宅地を優先的に選択する場合の調整方法
○特定事業用宅地は400平方メートル以内ですから、320平方メートルの全部が選択可能
○特定居住用宅地については、次の算式により計算される面積までの部分について、選択可能
240平方メートル− |
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320平方メートル× |
240平方メートル
400平方メートル |
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=48平方メートル |
∴小規模宅地の特例の適用対象面積 |
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特定事業用宅地 320平方メートル |
特定居住用宅地 48平方メートル |
▲特定居住用宅地を優先的に選択する場合の調整方法
○特定居住用宅地は240平方メートル以内ですから、120平方メートルの全部が選択可能
○特定事業用宅地については、次の算式により計算される面積までの部分について選択可能
400平方メートル− |
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120平方メートル× |
400平方メートル
240平方メートル |
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200平方メートル |
∴小規模宅地の特例の適用対象面積 |
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特定事業用宅地 200平方メートル |
特定居住用宅地 120平方メートル |
最新情報 適用対象面積の調整方法
今回の改正案により、特例適用対象となる宅地が2種類以上ある場合の調整計算は次のようになるものと予想されます。
A=特定事業用等宅地(≦400平方メートル)、B=特定居住用宅地(≦240平方メートル)、C=それ以外の宅地(≦200平方メートル)
・特例の適用対象が特定事業用等宅地(A)と特定居住用宅地(B)の場合
B=240平方メートル× |
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1− |
A |
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400平方メートル |
・特例の適用対象が特定事業用等宅地(A)とそれ以外の宅地(C)の場合
C=200平方メートル× |
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1− |
A |
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400平方メートル |
・特例の適用対象が特定居住用宅地(B)とそれ以外の宅地(C)の場合
C=200平方メートル× |
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1− |
B |
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240平方メートル |
・ |
特例の適用対象が特定事業用等宅地(A)と特定居住用宅地(B)とそれ以外の宅地(C)の場合 |
C=200平方メートル× |
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1− |
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A |
+ |
B |
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400平方メートル |
240平方メートル |
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