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2 固定資産税の負担水準の均衡化 |
−商業地等の固定資産税負担を軽減− 固定資産税は土地の評価額に税率(標準税率=1.4%)を乗じて算出されます。 土地の評価額は3年毎に見直され、平成12年(2000年)はその評価替えの年度となります。 国土庁の発表をみるまでもなく、このところ地価は毎年下落していますが、負担する固定資産税は一向に減らないという負担感のねじれ現象が生じています。この原因は固定資産税の税額を算出する基となっている課税標準額が、実際の固定資産税評価額を大幅に下回っているところが多いため、地価が下落しても直接、税負担の軽減に直結しないからです。それが納税者の意識に違和感を与えている理由です。 商業地等については、現行(平成9年度〜平成11年度)では、地価下落で固定資産税評価額(原則として公示地価の70%)が下がった場合でも、評価額に対する前年度の課税標準額の割合(いわゆる「負担水準」)が80%以下で60%以上なら、当年度もそのまま課税標準額を据え置き、負担水準が80%を超える場合は評価額の80%を課税標準額とすることとされています。 平成12年度の改正案では、商業地等の負担水準の上限が現行の80%から平成12年度及び平成13年度の2年度間については75%、平成14年度については70%と段階的に引き下げられます。このほか、新評価額の下落率がマイナス25%以上である宅地は税額を据え置くことになっていますが、改正案ではこの下落率がマイナス12%以上と緩和されます。 これにより自治省の試算では、この上限に当たっている大都市部の商業地等は税額が最低でも平成12年度は6.25%下がることになり、今回の改正案による軽減措置と地価下落と併わせて、商業地等では、東京と大阪などの12政令指定都市で、税額が下がるのは46%、全国平均では、税額引下げが17%、税額据置きが37%になると見込んでいます。 商業地等の宅地の負担調整措置
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現行(平成9年度〜平成11年度) | 改正案(平成12年度〜平成14年度) | ||||||||||||||||
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住宅用地の負担調整措置
商業用地等と異なり、住宅用地の場合、今回は大きな改正はありません。平成9年度から平成11年度には次のような措置が講じられていますが、平成12年度から平成14年度までについても、現行と同様の負担水準に応じた負担調整措置が継続されます。 |
■住宅用地の負担調整率■
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住宅用地の場合は、課税標準額を評価額の3分の1(住居1戸当たり200平方メートルまでの小規模住宅用地については6分の1)に圧縮するなどの軽減措置があり、商業地等に比べて断然、税負担は少なくて済みます。 住宅用地の固定資産税額が下がるのは平成11年度の課税標準額が平成12年度の評価額(6分の1又は3分の1圧縮後)よりも高い場合(つまり、負担水準が100%を超える場合)だけです。負担水準が80%以上100%以下の場合は前年度の税額が据置きとなります。 例えば、ある住宅地の小規模住宅用地の平成12年度評価額(6分の1圧縮適用後)が1平方メートル=8万円で、平成11年度の課税標準額が7万円であった場合、負担水準は7万円/8万円×100(%)で80%以上となり、固定資産税額は据置きとなります。 固定資産税額が上がるのは、この例では、平成11年度の課税標準額7万円(平方メートル当たり)に対して平成12年度の評価額が9万円になった場合(7万円/9万円×100(%)=77.8%<80%)のように、負担水準が80%未満になった場合だけです。
地価の下落傾向等に鑑み、都市部を中心とした大幅な地価の下落による納税者の負担感に配慮し、平成9年度から講じられている臨時的な税負担の据置き措置が平成12年度から平成14年度についても継続されます。 具体的には税負担が上昇することとなる宅地であっても次の(A)(B)の二要件のいずれをも満たすものは前年度の税額が据え置かれます。
固定資産税の評価額は、地方税法上、基準年度(原則として評価替えは3年毎に行われます。平成12年度がそれに該当)の価格を3年間据え置くこととされていますが、据置き年度である平成13年度及び平成14年度において、地価に関する諸指標からさらに下落傾向が見られる場合は、簡易な方法により価格の修正を行うことができる特例措置が講じられます。
平成12年度から平成14年度までの農地にかかる固定資産税については、平成9年度から平成11年度までと同様の負担水準に応じたなだらかな負担調整措置が講じられ、負担水準に応じて次の表に掲げる負担調整率を毎年度、前年度の固定資産税の課税標準額に乗じて得た額を課税標準とした場合の税額を限度として課税されます。
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