目次 III-4


4 小規模宅地等の課税の特例制度の拡充

 相続又は遺贈によって取得した財産のうちに、相続開始の直前において、被相続人等(被相続人及び被相続人と生計を一にしていた親族をいいます。)の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利〔借地権〕をいいます。)がある場合には、相続等により財産を取得した者に係るすべての宅地等の200平方メートル(現行)までの部分のうち、その相続人等の取得した宅地等(小規模宅地等)については、通常の価格にそれぞれに掲げる割合(下表)を乗じて得た金額を減額して課税価格を計算します。

 今回の改正案では、そのうち特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び国営事業用宅地等に係る特例の適用対象面積を330平方メートルに拡大する措置がとられます。

〜適用時期〜
 この改正は、平成11年1月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税から適用されます。


区   分 減額割合 特例対象面積(平方メートル)
現 行 改正案
居住用宅地 特定居住用宅地等(被相続人等と同居していた親族が引き続き居住している場合など) 80% 200 200
上記以外 50% 200 200
専業用宅地 特定事業用宅地等(被相続人等が営んでいた事業を引き続き営んでいる場合など) 80% 200 330
上記以外 50% 200 200
国営事業用宅地 国営事業用宅地等(特定郵便局舎用の宅地等を引き続き国の事業の用に供する場合) 80% 200 330
上記以外 50% 200 200
貸付用宅地 被相続人等が不動産貸付けの用に供していた場合 50% 200 200
同族会社の事業用宅地 特定同族会社事業用宅地等(申告期限まで引き続きその同族会社の事業の用に供される場合) 80% 200 330
上記以外 50% 200 200


計算例
特定事業用宅地の相続税評価額を1億円とします。

<面積が200平方メートル以内の場合>
 
1億円×80%=8,000万円の減額で、課税価額は2,000万円となります。
(現行・改正案とも同じ)

<面積が500平方メートルの場合>

現 行
面積のうち200平方メートルだけが80%の評価減の対象になり

1億円× 200平方メートル

500平方メートル
×80%=3,200万円の減額で課税価額は6,800万円

改正案
面積のうち330平方メートルだけが80%の評価減の対象になり

1億円× 330平方メートル

500平方メートル
×80%=5,280万円の減額で課税価額は4,720万円となります。

 

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