目次 IV-3


3 農地等に係る相続税の納税猶予制度等の見直し

 農地等に係る相続税の納税猶予等について、次のとおり見直しが行われます。


(1) 市街化区域外の農地等に係る相続税の納税猶予

 市街化区域外の農地等に係る相続税の納税猶予について、次の措置が講じられます。

(a)  改正後の農業経営基盤強化促進法の規定に基づき貸し付けられた農地が適用対象となります。
(b)  市街化区域外の農地等について本特例の適用を受ける者については、20年間の営農継続により猶予税額の納付が免除される措置が廃止されます。
(c)  猶予期間中に身体障害等のやむを得ない事情により営農継続が困難となった場合は、農地等の貸付け(営農の廃止)をしたときについても、納税猶予の継続が認められます。
(d)  災害・疾病等のやむを得ない事情のため一時的に営農できない場合について、営農継続しているものとする取扱いが明確化されます。
(e)  納税猶予適用者(20年間の営農継続により猶予税額が免除される者を除きます。)が、特例適用農地等を譲渡等した場合に納付する猶予税額に係る利子税については、税率が年3.6%(現行年6.6%)(注)に引き下げられます。
(注)  年3.6%の税率は、特例により年2.2%となります(日本銀行の基準割引率年0.5%の場合)。
(f)  農用地区域内の特例適用農地等を改正後の農業経営基盤強化促進法の規定に基づき譲渡した場合については、総面積の20%を超える場合でも、納税猶予の取消事由とされません(譲渡した割合に応じた猶予税額及び利子税を納付)。


(2) 市街化区域内の農地等に係る相続税の納税猶予

 市街化区域内の農地等に係る相続税の納税猶予について、上記(1)の(c)から(e)までの措置が講じられます。


(3) 納税猶予の取消事由となる「耕作の放棄」の見直し

 納税猶予の取消事由となる「耕作の放棄」について、該当要件の見直しが行われます。


(4) その他

 その他、農地等に係る贈与税の納税猶予等について、所要の見直しが行われます。


適用期日 この改正は、農地法等の一部を改正する法律の施行の日以後の相続若しくは遺贈又は贈与について適用されます。
なお、同日前の相続又は遺贈について農地等に係る相続税の納税猶予の適用を受けている者については、上記(1)の(c)から(f)までが適用されます。ただし、当該者は選択により、上記(1)の(a)の適用が受けられることとし、その場合には、上記(1)の(b)及び(3)も適用されます。


一口改正情報
 平成21年度の改正される見込みのもので、本冊子に掲載されているもの以外の改正事項で重要なものは下記のとおりです。
 1  電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除制度の適用期限が平成22年分まで2年延長されます。
 2  税務手続の電子化促進措置
 所得税の確定申告書の提出を電子情報処理組織を使用して行う場合において、一定の要件の下、税務署への提出又は提示を省略することができる第三者作成書類の範囲に、次の書類が加えられます。
(1) 上場株式配当等の支払通知書
(2) オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
(3) 配当等とみなされる金額の支払通知書
(注) 上記の改正は、平成21年1月5日以後に、平成21年分以後の所得税の確定申告書の提出を電子情報処理組織を使用して行う場合について適用されます。
 3  優良賃貸住宅の割増償却制度における高齢者向け優良賃貸住宅に係る措置について、次のとおり割増率の見直しを行った上、その適用期限が2年延長されます。
(1)  一定の認定支援施設と一体として整備が行われた支援施設一体型高齢者向け優良賃貸住宅及び認定支援施設
(a) 耐用年数が35年未満であるもの 100分の40(現行100分の28)
(b) 耐用年数が35年以上であるもの 100分の55(現行100分の40)
(2)  上記(1)の支援施設一体型高齢者向け優良賃貸住宅以外の高齢者向け優良賃貸住宅
(a) 耐用年数が35年未満であるもの 100分の20(現行100分の28)
(b) 耐用年数が35年以上であるもの 100分の28(現行100分の40)
 4  政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除の適用期限が平成26年12月31日まで5年延長されます。
 5  「生活対策」において実施することとされた定額給付金については、所得税・住民税が課税されません。

 

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