目次 II-5


5 企業再生関係税制の見直し

 地域における政策的な役割をもち、かつ、再生が必要な企業では地方公共団体及び金融機関1行のみとしか取引していないケースも多く、企業再生税制の適用を受けられないことが、企業再生の阻害要因の一つとなっています。そのため、債務免除を行う者の対象範囲に「地方公共団体」を追加する等により、当該企業群の再生の加速化が図られます。

 民事再生等の法的整理に加え、これに準ずる私的整理のうち、一定の要件を満たすものにおいて債務免除が行われた場合、その債務者である法人について、以下の措置が講じられます。


(1)  企業再生関係税制の拡充

(a)  資産の評価損益の計上及び青色欠損金等以外の繰越欠損金の優先控除の対象となる一定の債務処理に関する計画に係る要件について、次のとおり見直しが行われます。
 株式会社地域力再生機構が関与した私的整理が適用対象に加えられます。
 2以上の金融機関等の債務免除要件について、一方の債務免除の当事者に地方公共団体が追加されます。
 債務免除要件について、自己に対する債権の現物出資を受ける場合についても債務免除があった場合と同様の取扱いとされます。
(注)適用される手法にいわゆるDESが追加されることを意味します。
 専門家関与要件について、中小規模再生の場合には、関与すべき専門家の人数の最低限度が2人(現行:3人)とされます。
(b)  評価損益の計上対象となる資産について、中小規模再生の場合には、資産の評価差額の最低限度が100万円(現行:1,000万円)とされます。

(注)  中小規模再生とは、有利子負債の額が少額(10億円未満)である企業再生をいいます。


(2) 評価損の計上対象となる資産の範囲に債権が追加されます。


(3)  仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴い減額された法人税額について、一定の企業再生事由が生じた場合には、繰越控除制度の適用を終了し、控除未済額を還付することとされます。

 

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