目次 III-1


III.住宅土地税制はここが変わる!


1 住宅の省エネ改修促進税制の創設

―天井、壁、床、窓などの断熱工事費用に係るローン残高の2%を5年間控除―

 地球温暖化防止に向けて家庭部門のCO2排出量の削減を図るため、既存住宅において省エネ改修を行った場合の特例措置が創設されます。


[1] 住宅の省エネ改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の創設(所得税)

 居住者が、その者の居住の用に供する家屋について「一定の省エネ改修工事」を含む増改築等(「省エネ改修工事等」といいます。)を行った場合において、当該家屋を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、「一定の要件」の下で、その省エネ改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分の「一定割合」を所得税の額から控除できる制度が創設されます。

 この特例は、現行の「住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」(下記[2])との選択適用とし、控除期間は5年とされます。

 また、二以上の居住年に係る住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の計算の調整措置その他所要の措置が講じられます。


【一定の省エネ改修工事】

本制度における「一定の省エネ改修工事」とは、次のものをいいます。

工事の範囲の要件(次の(a)〜(d)のいずれか)
(1) (a)居室の全ての窓の改修工事
(a)の工事と併せて行う (b)床の断熱工事
(c)天井の断熱工事
(d)壁の断熱工事
性能等の要件(次のすべて)
(2) (a)改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となること
(b) 改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること
(3) その工事費用の合計額が30万円を超えるものであること


【一定の要件】

 「一定の要件」とは、次のものをいいます。

要件 内容
償還期間 住宅借入金等について、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等を適用対象とします。
証明書 本制度の適用については、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する省エネ改修工事等の証明書を要するものとします。
他の要件 その他現行の「住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」と同様の要件(次の[2]参照)とします。
(上記2つの要件のみが異なります。)


【一定割合(控除割合)】

 省エネ改修工事等に係る住宅借入金等の年末残高のうち、次の区分に応じてそれぞれに掲げる割合を乗じて計算した金額が所得税の額から控除されます。

「特定の省エネ改修工事」(注)に係る工事費用(200万円を限度)に相当する部分の金額 2%
上記に掲げる住宅借入金等の年末残高以外の金額 1%

(注)  「特定の省エネ改修工事」とは、「一定の省エネ改修工事」のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当となると認められる工事内容のものをいいます。


[2]住宅ローン減税の対象となる増改築等の範囲の拡大

 住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、現行制度において適用対象となっている大規模の修繕又は模様替等に加え、大規模の修繕又は模様替等に至らない「一定の省エネ改修工事」が適用対象に加えられます。


【一定の省エネ改修工事】

 本制度における「一定の省エネ改修工事」とは、上記の【一定の省エネ改修工事】の(1)と(2)と同じものをいいます。

(注)  本制度は、大規模の修繕又は模様替等に至らないものを適用対象とするため、上記[1]の場合と異なり、30万円の金額要件がありません。


【現行の住宅ローン減税と省エネ改修促進税制の比較】

  現行の住宅ローン減税 省エネ改修促進税制
税制控除率 1.0%:1〜 6年目
0.5%:7〜10年目
2.0%
特定の省エネ改修工事
(※)以外の部分は1.0%
控除期間 10年間 5年間
ローンの限度額 2,000万円 200万円
特定の省エネ改修工事相
当分。当該工事以外の部
分と合計で1,000万円
ローンの償還期間 10年以上 5年以上
工事費 100万円超 30万円超

(国土交通省「平成20年度国土交通省税制改正要望主要項目結果概要」より)


【適用要件】

 本制度の適用については、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する省エネ改修工事等の証明書を要するものとします(上記[1]と共通)。

適用期日 この制度は、増改築等をした居住用家屋を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合について適用されます。


[3]省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置の導入

 平成20年1月1日に存していた住宅で、平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に、「一定の省エネ改修工事」を行ったもの(賃貸住宅を除きます。)について、改修工事が完了した年の翌年度分に限り(適用は1年度分のみです。)、当該住宅に係る固定資産税の税額(一戸当たり120平方メートル相当分までに限ります。)の3分の1が減額されます。


【一定の省エネ改修工事】

 本制度における「一定の省エネ改修工事」とは、上記の【一定の省エネ改修工事】の(1)、(2)の(a)、(3)と同じものをいいます。


【適用手続】

 本制度の適用を受けようとする納税義務者は、改修後のそれぞれの部位が省エネ基準に適合することとなったことにつき、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行した証明書を添付して、改修後3か月以内に市町村に申告する必要があります。

 

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