目次 I-8


8 人材投資促進税制の拡充・延長
―中小企業基盤強化税制の中に位置付け

―教育訓練費を増加させることができない中小企業にも適用拡大等―

 中小企業の教育訓練費は、90年代に落ち込んだまま横ばいとなっています。中小企業の生産性の向上のためには、人材投資の底上げが必要となっています。しかし、現行制度は、継続的な教育訓練費の増加や、3年分の帳簿から教育訓練費を洗い出す手間が必要であり、中小企業にとっては使いにくい制度との声が上がっていました。

 中小企業の生産性の向上・成長・底上げのためには人材投資の加速が不可欠であり、特に厳しい経営状況のため人材投資を継続的に増加させることが困難な中小企業について、教育訓練費の増減に関わらず、適用事業年度の教育訓練費の総額から税額控除する簡素な制度(「総額型」)に拡充しなければならないと判断されました。

[1] 中小企業者等に係る教育訓練費に係る税額控除制度の増加額型から総額型への改正

 教育訓練費の増加額に係る税額控除制度における中小企業者等に係る措置について、教育訓練費率(労務費の額のうちに占める教育訓練費の額の率)が0.15%以上の場合に、教育訓練費の総額に12%(教育訓練費率が0.25%未満の場合には、教育訓練費率から0.15%を控除した率に40を乗じた率に8%を加算した率)を乗じた金額が税額控除できる制度に改組されたうえ、本制度を事業基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度の中に位置付けられます。

(注)税額控除率は、次のとおりとされます。

8%+ 教育訓練費の額 −0.15% ×40
労務費の額

改 正 の
ね ら い
(1) 最低賃金引上げの影響への対処として、本制度による人材育成の促進を通じた中小企業の生産性の向上が期待されます。
(2) 人材投資促進税制には、企業の教育訓練費を増大させる効果があります。この制度改正によって、中小企業の教育訓練費を上昇軌道に乗せることができます。


[2]大企業の教育訓練費の増加額に係る税額控除制度の廃止

 教育訓練費の増加額に係る税額控除制度における大企業分については、適用期限(平成20年3月31日)の到来をもって廃止されます。


◆人材投資促進税制の拡充(法人税、所得税、法人住民税)◆

中小企業の生産性向上・成長・底上げのためには、人材投資の加速が不可欠。
厳しい経営状況のため、人材投資を継続的に増加させることが困難な中小企業について、教育訓練費の増減に関わらず、適用事業年度の教育訓練費の総額から税額控除する簡素な制度(「総額型」)に拡充させます。

改正案の概要

 中小企業については、適用事業年度(単年度)の労務費に占める教育訓練費の割合が一定水準(0.15%)以上の場合、当該教育訓練費の総額の8〜12%に相当する額が税額控除されます。

(注1)  本措置は中小企業等基盤強化税制の中に位置づけ。
(注2)  大企業分については、適用期限(平成20年3月31日)の到来をもって廃止。



(参考) 一人当たり労務費を450万円とすると、その0.15%相当額は6,750円。従業員数が10人の場合、総額67,500円以上支出すれば減税対象となります。(※従業員30〜99人規模の企業の一人当たり労務費の平均額は4,509,424円(厚生労働省「就労条件総合調査」))

(経済産業省・中小企業庁「平成20年度税制改正の概要」より)


[3]地方税の改正

 中小企業者等の教育訓練費に係る法人住民税の特例措置について、労務費に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合に、課税標準となる法人税額から控除する額を、教育訓練費の総額に、(1)の控除率(8%〜12%)を乗じた金額にできる制度に改組されます。

 

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