目次 I-3


3 公益法人の税制の見直し
―民間が担う公益活動の推進

―営利事業の課税強化、認定公益法人は非課税拡大等―
〈公益法人制度改革への対応〉

 平成20年12月から施行予定である新しい公益法人制度に対応し、税制面からも民間の公益活動を支えていくため、公益社団法人・公益財団法人について、公益目的事業から生じる収益を非課税とするとともに、特定公益増進法人と位置づけ寄附優遇の対象とする等の措置が講じられます。

 また、準則主義で設立可能となる一般社団法人・一般財団法人については、様々な態様の法人に対応する税制を整備し、課税の適正・公平が図られます。

 固定資産税等については、公益社団法人・公益財団法人に対して旧民法34条法人と同様の非課税措置が講じられるとともに、一般社団法人・一般財団法人に移行した法人が設置する既存の施設については平成25年度まで同様の措置が講じられた上、その間にできるだけ速やかに検討し、適切な措置が講じられます。

(注) 医師会等が開設するオープン病院等が営む医療保健事業等については非課税を継続。


[1]公益法人関係税制の整備等

 公益法人制度改革による新たな法人制度の創設に伴い、次のとおり公益法人関係税制の整備等が行われます。


(1) 新たな法人制度における社団法人・財団法人に対する課税

(1)  公益社団法人及び公益財団法人
 各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得について法人税が課税されます。なお、収益事業の範囲から公益目的事業に該当するものが除外されます。
 各事業年度の所得の金額に対して30%(所得の金額のうち年800万円以下の部分については、22%)の税率が適用されます。
 収益事業に属する資産のうちから自らの公益目的事業のために支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなされます。なお、寄附金の損金算入限度額は、次のいずれか多い金額とされます。
(イ) 所得の金額の50%相当額
(ロ) 公益目的事業ために充当し、又は充当することが確実であると認められるものに相当する金額(収益事業に属する資産のうちから公益目的事業のために支出した金額が限度とされます。)
 その支払を受ける利子等に係る源泉所得税は非課税とされます。
(2)  収益事業課税が適用される一般社団法人及び一般財団法人
 次の一般社団法人及び一般財団法人については、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得について法人税が課税されます。
(イ) 剰余金の分配を行わない旨が定款において定められていること等の要件に該当する一般社団法人及び一般財団法人
(ロ) 会員に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的としていること等の要件に該当する一般社団法人及び一般財団法人
 各事業年度の所得の金額に対して30%(所得の金額のうち年800万円以下の部分については、22%)の税率が適用されます。
(3)  全所得課税が適用される一般社団法人及び一般財団法人
一般社団法人及び一般財団法人のうち、上記(1)及び(2)のいずれにも該当しないものは、法人税法上、普通法人とされます。
(4)  特例民法法人
従前どおり、所得税法上の公共法人等及び法人税法上の公益法人等とされます。


(2) 寄附税制

 寄附税制について、特定公益増進法人及び相続財産を贈与した場合に相続税が非課税とされる法人の範囲に、公益社団法人及び公益財団法人が追加されるほか、特例民法法人に係る所要の経過措置等が講じられます。

 また、公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例について、次の措置等が講じられます。

(1) 非課税特例の対象となる法人(以下「対象法人」という。)に公益社団法人及び公益財団法人並びに特定の一般社団法人及び一般財団法人(上記(1)(2)イ(イ)に掲げるもの)が追加されます。
(2) 寄附を受けた財産(以下「寄附財産」という。)が公益事業の用に供されなくなったこと等一定の事由により非課税承認が取り消された場合には、対象法人に対して、寄附時の譲渡所得等に係る所得税が課税されます。
(3) 対象法人が、寄附財産を直接公益事業の用に供した後に譲渡し代替資産を取得した場合には、一定の要件の下で非課税特例が継続適用されます。


(3) その他公益法人関係税制等についての所要の整備

 次のとおり、公益法人関係税制等について所要の整備が行われます。

(1) 公益社団法人及び公益財団法人に係る役員の変更登記等又は公益認定の際の変更登記について登録免許税を非課税とするほか、一般社団法人及び一般財団法人の設立登記等について1件につき6万円等の登録免許税を課税する等の措置が講じられます。
(2) 一般社団法人及び一般財団法人を消費税法別表第三(国・地方公共団体等に準ずるもの)に追加されます。
(3) 関連諸制度の整備
法人税関係
(イ) 収益事業の範囲について、労働者派遣業の追加、技芸の教授業に係る除外措置の見直しのほか、所要の整備が行われます。
(ロ) 法人が収益事業課税から全所得課税へ移行した場合には、原則として、簿価純資産価額から利益積立金額を控除した金額が益金の額に算入されます。また、法人が全所得課税から収益事業課税へ移行した場合には、解散及び設立があったものとして取り扱うなど、法人につき課税所得の範囲の変更等があった場合の所要の調整が行われます。
所得税及び法人税における外国公益法人等の指定制度について、所要の経過措置を講じたうえで廃止されます。
一般社団法人及び一般財団法人等の持分の定めのない法人への贈与等を通じた贈与税等の租税回避について、所要の措置が講じられます。
(4) その他所要の整備が行われます。


[2]公益法人制度改革に伴う地方税関連の措置

 公益法人制度改革に伴い、次のとおり措置が講じられます。


(1) 法人住民税・法人事業税

 法人住民税・法人事業税について、以下の措置が講じられます。

  (1) 法人住民税均等割

公益社団法人及び公益財団法人並びに一般社団法人及び一般財団法人について、最低税率が適用されます。
博物館の設置又は学術の研究を目的とする公益社団法人又は公益財団法人が収益事業を行わない場合には、非課税とされます。
イとロを併せて、以下の改正が行れます。
(イ) 人格のない社団等で収益事業を行わないものについて、非課税とされます。
(ロ) 人格のない社団等、公益法人等(個別法において公益法人等とみなされるものを含み、独立行政法人を除きます。)など資本金の額又は出資金の額を有しない法人(相互会社を除きます。)について均等割を課す場合には、最低税率が適用されます。


  (2) 法人住民税法人税割

    法人税における取扱いを踏まえ、所要の措置が講じられます。


  (3) 法人事業税

公益社団法人及び公益財団法人並びに一般社団法人及び一般財団法人について、所得割額又は収入割額によって課税されます。
法人事業税所得割について、法人税における取扱いを踏まえ、所要の措置が講じられます。


(2) 固定資産税及び都市計画税

 固定資産税及び都市計画税において、旧民法第34条法人が設置するものに対して非課税措置が講じられている施設について、以下の措置が講じられます。

(1) 公益社団法人又は公益財団法人が設置する施設について、旧民法第34条法人が設置するものと同様に非課税とされます。
(2) 一般社団法人又は一般財団法人に移行した法人が設置する施設で、移行の日の前日において非課税とされていたものについて、平成25年度までの間に検討を行い適切な措置を講じるとされ、さしあたり平成25年度分まで非課税措置が継続されます。


(3) 不動産取得税

 不動産取得税において、旧民法第34条法人が使用するために取得した場合に非課税措置が講じられている施設について、公益社団法人又は公益財団法人が使用するために取得した場合が非課税とされます。


(4) 事業所税

 事業所税について、以下の措置が講じられます。

(1) 公益社団法人及び公益財団法人並びに一般社団法人及び一般財団法人に対する事業所税の課税の範囲については、法人税と同様とされます。
(2) 公益社団法人若しくは公益財団法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人(一般社団法人及び一般財団法人にあっては、法人税において収益事業課税が適用されるものに限る。)が経営する専ら勤労者の利用に供する福利又は厚生のための施設について非課税とされます。


(5) その他の措置

 (a)  特例民法法人について、旧民法第34条法人と同様の措置が講じられます。
 (b)  その他所要の措置が講じられます。

適用期日 これらの改正は、平成20年12月1日から適用されます。ただし、(1)(1)ハについては、平成20年4月1日から適用されます。

 

目次 次ページ