目次 I-2


2 法人事業税の分離・地方法人特別税の創設

―2009年度から地方法人特別譲与税として都道府県に譲与―

 喫緊の政治課題である地域間の税源偏在の是正に早急に対応するため、消費税を含む税体系の抜本的な改革が行われるまでの間の暫定措置として、平成20年度改正で、法人事業税の一部が分離され、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税が創設されます。

 地方税制については、更なる地方分権の推進とその基盤となる地方税財源の充実を図る中で、地方消費税の充実を図るとともに、併せて地方法人課税のあり方を抜本的に見直すなどにより、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することを基本に改革を進めるとされています。この基本方向に沿って、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現が図られる予定です。

 この消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置として、概ね2.6兆円の法人事業税を分離し、地方法人特別税を創設するとともに、その収入額を人口及び従業者数を基準として都道府県に譲与する地方法人特別譲与税を創設することにより、偏在性の小さい地方税体系の構築が進められます。


[1]法人事業税(所得割及び収入割に限る。)の税率の改正

 法人事業税の標準税率が次のとおり改正されます。


(1)  資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人の所得割の標準税率

  現 行 改正案
年400万円以下の所得 3.8% 1.5%
年400万円超年800万円以下の所得 5.5% 2.2%
年800万円超の所得及び清算所得 7.2% 2.9%


(2) 資本金1億円以下の普通法人等の所得割の標準税率

  現 行 改正案
年400万円以下の所得 5% 2.7%
年400万円超年800万円以下の所得 7.3% 4%
年800万円超の所得及び清算所得 9.6% 5.3%


(3) 特別法人の所得割の標準税率

  現 行 改正案
年400万円以下の所得   5% 2.7%
年400万円超の所得及び清算所得 6.6% 3.6%
(特定の協同組合等の年10億円超の所得) (7.9%) (4.3%)


(4) 収入金額課税法人の収入割の標準税率

  現 行 改正案
電気供給業、ガス供給業及び保険業を行う
法人の収入金額に対する税率
1.3% 0.7%


注 意 点 3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金1,000万円以上であるものの所得割に係る税率については、軽減税率の適用はありません。

適用期日 この改正は、平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。


[2]地方法人特別税の創設

◆地方法人特別税の基本的な仕組み◆

イ 納税義務者等
 地方法人特別税は、法人事業税(所得割又は収入割)の納税義務者に対して課する国税とされます。
ロ 課税標準
 法人事業税額(標準税率により計算した所得割額又は収入割額とされます。)
ハ 税率
(イ) 付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率 148%
(ロ) 所得割額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率 81%
(ハ) 収入割額によって法人事業税を課税される法人の収入割額に対する税率 81%
ニ 申告納付
 地方法人特別税の申告納付は、都道府県に対して、法人事業税と併せて行うものとされます。
ホ 賦課徴収
 地方法人特別税の賦課徴収は、都道府県において、法人事業税と併せて行うものとされます。
へ 国への払込み
 都道府県は、地方法人特別税として納付された額を国に払い込むものとされます。

適用期日 地方法人特別税は、平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。


[3]地方法人特別譲与税の創設

 地方法人特別税の収入額を、使途を限定しない一般財源として都道府県へ譲与する地方法人特別譲与税が創設されます。

 地方法人特別譲与税の譲与の基準は以下のとおりとし、平成21年度から譲与されます。

(1) 地方法人特別税の収入額から(2)の額を控除した額を、2分の1を人口で、他の2分の1を従業者数であん分して譲与されます。
(2) 前年度の地方交付税の算定における財源超過団体に対しては、今回の改正案による減収額として算定した額が財源超過額の2分の1を超える場合、減収額として算定した額の2分の1を限度として、当該超える額を(1)による譲与額に加算されます。


[4]その他

 その他所要の措置が講じられます。

 

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