目次 III-2


2 住宅のバリアフリー改修促進税制の創設

(1)  住宅のバリアフリー改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例

 長寿化社会における住宅のバリアフリー改修を支援するため、一定の居住者が自己の居住の用に供する家屋について一定のバリアフリー改修工事を含む増改築等(以下「バリアフリー改修工事等」といいます。)を行った場合について、控除期間を5年とした上でバリアフリー改修工事に係るローン部分の控除率を引き上げる次のようなバリアフリー改修促進税制が創設されます。

 また、平成19年から平成22年3月31日までの間に、一定のバリアフリー改修が行われた住宅で一定の要件を満たす場合には、1戸当たり100平方メートルまでを限度として改修工事完了年の翌年度分の固定資産税の税額が3分の1減額されることになります。

【住宅のバリアフリー改修促進税制創設】
居住の用に
供する時期
控除期間 住宅借入金等の
年末残高
適用年・控除率 最大控除額
平成19年
4月1日
から平成
20年12月
31日まで
5年間 1,000万円以下の部分 一定のバリアフリー改修
工事に係る工事費用相当
部分(200万円を限度)
2% 60万円
上記の「一定のバリアフ
リー改修工事に係る工事
費用相当部分」以外の工
事費用相当部分
1%
平成19年4月1日〜平成20年12月31日居住分
《対象工事[1]+[2]の合計で1,000万円を限度》
  ローン残高 控除年 控除率
[1]増改築工事費用 〜1000万円 1〜5年目 1.0%
[2] うちバリアフリー
改修工事費用
〜200万円 1〜5年目 2.0%


【適用対象要件】
一定のバリアフリー改修工事 次に該当する工事で、その工事費用(補助金等をもって充てる部分を除く。)の合計額が30万円を超えるものをいいいます。
[1]廊下の拡幅 [2]階段の勾配の緩和 [3]浴室改良 [4]便所改良 [5]手すりの設置 [6]屋内の段差の解消 [7]引き戸への取替え工事 [8]床表面の滑り止め化
一定の居住者 以下のいずれかに該当する者です。
[1]50歳以上の者
[2] 介護保険法の要介護又は要支援の認定を受けている者
[3] 障害者である者
[4] 居住者の親族のうち[2]若しくは[3]に該当する者又は65歳以上の者のいずれかと同居している者
適用対象となる住宅借入金等の範囲 償還期間5年以上の一定の住宅借入金等及び死亡時一括償還に係る借入金等
バリアフリー改修工事等の証明書 次のいずれかが発行するものが必要です。
[1] 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録性能評価機関
[2] 建築基準法に基づく指定確認検査機関
[3] 建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士
その他の要件 現行の住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の要件と同様です。

 なお、この特例は、次の(2)の住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用とされます。

二以上の居住年に係る住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の計算の調整措置その他所要の措置が講じられます。


(2) 住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

 住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、現行、適用対象となっている大規模の修繕又は模様替等に加え、大規模の修繕又は模様替に至らない工事のうち、一定のバリアフリー改修工事が適用対象に加えられます。


【現行の対象となる増改築工事の範囲】
[1] 増築、改築、建築基準法に規定する大規模の修繕・大規模の模様替え
[2] マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替え
[3] 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室又は壁の全部について行う修繕・模様替え
[4] 家屋について行う地震に対する一定の安全基準に適合させるための修繕・模様替え


【改正により追加される増改築工事】
一定のバリアフリー改修工事 次に該当する工事をいいます。
[1]廊下の拡幅 [2]階段の勾配の緩和 [3]浴室改良 [4]便所改良
[5]手すりの設置 [6]屋内の段差の解消 [7]引き戸への取替え工事
[8]床表面の滑り止め化


〔参考:適用要件〕

 住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用要件は次のとおりです。また、上掲の【適用対象要件】のバリアフリー改修工事等の証明書と同様の機関等が発行した証明書が必要です。

[1]増改築後の家屋の床面積が50平方メートル以上であること
[2]工事費用が100万円を超えること
[3]増改築後の家屋の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること
[4]工事費用の額の2分の1以上が自己の居住用部分に係るものであること
[5]合計所得金額が3,000万円以下であること


適用期日  この改正は、増改築等をした居住用家屋を平成19年4月1日から平成20年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合について適用されます。

なお、住宅のバリアフリー改修促進税制については、今後の適用状況を踏まえつつ、高齢者等の安心・安定した居住環境の確保や税制としての適切な支援のあり方等の観点から、今後、引き続き検討が行われます。

 

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