目次 II-4-1


 四 組織再編税制等の改正

 平成13年度及び14年度の税制改正により、組織再編税制が整備され、連結納税制度が創設されるなどの大改正が行われましたが、その後の経済環境の変化などを受けて平成18年度の税制改正においても次の見直しが行われます。


1 株式交換・株式移転に係る税制の本則化と税制の整備

 新会社法の制定に合せ、他の組織再編行為との課税の公平性や租税回避の防止、株式交換制度の円滑な利用促進の観点からこれまで租税特別措置法(67条の9・67条の10)事項であった制度が本則化され、次の見直しが行われます。


[1] 完全子法人株式の譲渡損益の繰延べ

 株式交換・株式移転により完全子会社となる法人(特定子会社)の株主には、特定子会社の株式と交換に完全親会社となる法人(特定親会社)の株式が交付されます。この場合において、株式の譲渡が行われたものとして、特定子会社の株主に課税が行われますが、次の条件を満たした場合には、特定子会社の株主に係る株式譲渡損益の課税が繰り延べられることになります。

〔課税繰延措置の要件〕  
現 行 改正案
特定親会社での
特定子会社株式
の受入価格
子会社株主の簿価
(株主50人以上であ
れば、子会社の簿価
純資産額)
かつ、    
交付金銭割合 < 5%
特定子会社の株主が、
特定親会社株式以外の
資産の交付を受けてい
ないこと


[2] 完全子法人が有する資産(下記※)の時価評価による評価損益の計上

 次のいずれにも該当しない株式交換が行われた場合には、その完全子法人が有する資産について、時価評価による評価損益の計上等を行うことになります。

 現行の組織再編税制は、合併、会社分割、現物出資、事後設立を対象とし、株式交換、株式移転は別の取扱いをしていましたが、この改正により、株式交換、株式移転も他の組織再編行為と同列の取扱いがされるようになります。

a. 企業グループ内の株式交換・株式移転
b. 共同事業を営むための株式交換・株式移転

※完全子法人が有する資産
・固定資産 ・土地等 ・有価証券 ・金銭債権 ・繰延資産
(注)  これらのうち、含み損益が資本等の金額の2分の1又は1,000万円とのいずれか少ない金額に満たないものは除かれます。


[3] 連結納税開始等に伴う時価評価

 連結納税開始等に伴う時価評価について、株式交換に係る適用除外法人を、その完全子法人のうち上記[2]の適用を受けないものに緩和されます。


[4] 連結欠損金額とみなされる欠損金額

 連結納税制度において、連結欠損金額とみなされる欠損金額から上記[2]の完全子法人の株式移転の日の属する事業年度前において生じた欠損金額が除かれることになります。

適用期日
この改正は、平成18年10月1日以後に行われる株式交換及び株式移転について適用されます。

 

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