目次 Q2


税務調査の準備と受入体制


Q2  税務調査の予告……誰が、いつから、何を調査するのか

 税務署から電話が入り、「来週の火曜日から税務調査にうかがいたいのですが、ご都合はいかがですか」との旨が伝えられました。どういった準備をしたらよいでしょうか。


Point

 [1] 社長、経理部長、顧問税理士等の都合は…
 [2] 社長の挨拶、法人の内容説明は簡潔に…
 [3] 質問、照合等には証拠資料等による回答を…
 [4] 税務調査の対応は手早く、ソフトかつクールに…



当面の対応

1 日程の調整
 上記によると、税務調査の日程は、調査官側より示されたものですが、法人側としては、対応する社内メンバーの日程調整を行う必要があります。なお、以下に、社内メンバーが税務調査において対応すべき業務の内容を確かめておきましょう。

2 初日
 まず、社長、管理担当役員、経理部課長、立会顧問税理士等による挨拶および経理スタッフの紹介を行います。続いて、パンフレットに記載されている事項の説明、ビデオ上映等による法人の説明を行います。また、調査官側の希望があれば、メーカーの場合等は、工場見学等を行います。

3 第2〜4日
 経理スタッフにより、調査年度に対応する帳票類を準備します。これは調査の部屋のコーナーに積み上げ、かつ部屋はロックします。要望に応じて総務部、営業部関係の諸契約書等も、ただちに閲覧できるように準備しておきます。帳簿記録と証憑書類等を突合する場合、それが多数ですぐに突合できない場合には、たとえば番号を付した付箋等を帳簿自体に貼りつけ、同時に別紙リストに記載しておき、提示、チェックが終了した内容は消込みを行っていきます。このようなコントロールを行うことにより、未提出の証憑書類等がどれかということが明らかになります。

4 第○日(最終日に近い日)
 税務調査の問題結果が固まって来た場合、調査官側より今回の税務調査についての修正申告案が示されることが多く、したがって、法人側がそれに異論がある場合には、この段階において自己の主張を打ち出す必要があります。すなわち、とくに重要な修正案については、法人側の意見の申入れが遅延すると、すでに調査官側の意向が固まってしまった場合には、問題の解決として修正申告によることはできなくなります。なお、これらの意見の申入れを行うときに、法人の力では及ばない場合には、顧問税理士に相談して意見を求め、あるいは調査官への説明、陳情等のバックアップを依頼することもあります。


今後の対応

1 クールに対応
 税務調査に限らず、自分の業務が他人にチェックされることは愉快なものではありません。ましてや業務の不備を指摘され、かつそれに金銭支出が伴うときは、不愉快を通り越してパニックに陥りがちなものです。しかしながら、税務調査は法人が事業活動を行う限りにおいて避けることはできず、したがってあくまでクールに対応し、早期に解決すべきです。

2 発言の遅れ
 上記のケースにおいて法人の発言のタイミングが遅れた場合には、調査官側と話し合う時間的な余地がなくなってしまいます。この場合には、更正決定が行われ、その結果につき、法人側に不服があれば、異議申立て→審査請求→国税不服審判所→税務訴訟等と忙しくなってしまいます。なお、これらは納税者保護のために設けられている制度ですが、構成メンバーの大部分は税務職員であり、かつその結果も税務当局側に分があるケースが多いようであり、多くの場合、よい結果は望み薄でしょう。

 

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