第4部 Q&A |
第4部 印紙税の取扱い |
Q 契約書に印紙を貼らずに契約した場合 |
本来、印紙を貼らなくてはいけない売買契約書に印紙を貼らずに契約をしてしまいました。この契約書は無効になるのでしょうか? また、印紙を貼らないことに対して何か罰則はありますか? A 売買契約書のような重要な契約書には、印紙が貼られるのが一般的ですので、印紙が貼られていない契約書は「偽物」のようで契約そのものが無効のように考えられますが、印紙を貼ってあるかどうかは契約そのものにはまったく影響がなく、印紙が貼っていなくてもその契約は有効になります。 ただし、印紙を貼らなくてはいけない文書(これを「課税文書」といいます。)に印紙を貼らなかったことに対しては、印紙税法上の罰則規定が適用されます。 具体的には、納付しなかった印紙の金額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち当初の印紙の3倍の金額)の過怠税がかかります。 その書類に印紙を貼らずに相手方に交付してしまった場合には、書類の作成者が所轄税務署長に対し印紙税を納付していない旨を申し出た場合には、上記の過怠税は納付しなかった印紙の金額とその10%に相当する金額との合計額(すなわち当初の印紙の1.1倍の金額)に軽減されます。ただし、この軽減は、印紙税の調査が開始した後に申し出た場合や、交付先の印紙税の調査により発覚した場合には適用されません。 また、貼付した印紙を消印しなかった場合には、消印されていない印紙税に相当する過怠税が課税されます。 この過怠税は、法人税や所得税を計算する際には、損金や必要経費になりませんので、過怠税がかからないよう注意が必要です。 |
Q 「仮契約書」と「本契約書」どちらにも印紙は必要か |
当社はマンションなど住宅の建設を行っています。マンションの建設にあたっては当初「仮契約」を行って、その後同様の「本契約」を締結する場合が多いのですが、「本契約書」に適正な印紙を貼付していれば、「仮契約書」には印紙を貼らなくてもよいでしょうか? 両方の契約書に印紙を貼ると二重に印紙を貼ることになりませんか? また、「念書」「覚書」「確認書」といった書類にも印紙を貼る必要がありますか? A 印紙税は「文書課税」といわれるように、「課税文書」を作成した場合には文書を作成した都度、印紙を貼る必要があります。 逆にいいますと、文書を作成しない限りどんなに高額な取引をしたとしても印紙を貼る必要はありません。たとえば、売買契約の証拠をビデオに撮影したり、インターネットやEメールでの契約は印紙を貼る必要はありません。 ご質問のケースでは、仮に「仮契約書」と「本契約書」がまったく同様だとしても、「文書」を2通作成していますので、それぞれに所定の印紙を貼る必要があります。 ご指摘のように二重に印紙を貼ることになりますので、「本契約書」1回で済ます方法をお考えになるか、「本契約書」の契約金額については「仮契約書記載のとおりとする」と記載すれば、「本契約書」は契約金額の記載のない文書として取り扱われ、印紙は200円となります。 また、「念書」「覚書」「確認書」といった書類も、その名称で判断するのではなく、その記載内容が課税される文章かどうかで判断し、課税文書に該当する場合には印紙を貼る必要が出てきますので、安易な作成は控えたいものです。 |
Q 消費税および地方消費税の取扱い |
当社では、取引にあたって作成する契約書および領収書は、本体金額と消費税および地方消費税とを区分して記載しています。この場合、本体金額と消費税および地方消費税の合計額が、契約書の記載金額、または、受取金額になるのでしょうか? A 不動産の譲渡等に関する契約書(第1号文書)、および請負に関する文書(第2号文書)は、契約金額に応じて印紙税の額が定められています。 この場合、契約金額の中に消費税および地方消費税(以下「消費税等」といいます。)が含まれるかどうかが問題になりますが、以下のように取り扱われます。 (1) 本体金額(請負金額)と消費税等が区分して記載されている場合 本体金額(請負金額)に応じて印紙税が課税されます。具体的には、下記(例1)(例2)のケースでは、記載金額は、5,000万円となり、印紙税額は1万5,000円となります。
(2) 契約金額と消費税等が区分して記載されていない場合 本体金額(請負金額)と消費税等合計額に対して印紙税が課税されます。具体的には、下記(例3)のケースでは、記載金額は5,250万円となり、印紙税額は4万5,000円となります。
また、売上代金に係る金銭または有価証券の受取書(第17号文書)も上記と同様に、本体金額と消費税等が区分して記載されている(例4)(例5)のケースでは、受取金額は500万円となり、印紙税額は1,000円となります。
しかし、本体金額と消費税等が区分して記載されていない(例6)のケースでは、受取金額は525万円となり、印紙税額は2,000円となります。
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Q 使わなくなったなった印紙は返金してくれるか |
当社の遊休不動産売却の話がまとまっていたため、契約書に貼付しようと4万円と5,000円の印紙を購入いました。ところが、直前になりこの話がキャンセルになりました。購入したこれらの印紙は他に使用する予定もないのですが、郵便局または税務署で払戻しはしてもらえますか? A 印紙税について還付が受けられる場合は、印紙税の過誤納があった場合に限られます。ご質問のように、契約書に貼付することなく印紙のままの状態でお持ちの場合は、残念ながら還付を受けることはできません。また、郵便局でも買戻しは行っていません。 しかし、郵便局では、使用する見込みのない収入印紙は、1枚5円の手数料(交換により受け取る収入印紙の枚数に関係なく、交換しようとする収入印紙1枚当たりの手数料。御社が4万円と5000円の2枚の印紙を交換する場合には、何枚の印紙と交換しようと手数料は10円です。)で交換することができます。したがって、御社が200円の印紙をよく使用するのであれば、10円の手数料を支払うことにより200円の印紙225枚と交換することができます。 ちなみに、印紙税の還付を受けられるケースは以下の場合です。 (イ) 課税文書に該当しない文書に印紙を貼ってしまった場合 (ロ) 印紙を貼った文書を使用しなくなった場合 (ハ) 所定の金額を超える額の印紙を貼ってしまった場合 このような場合には、その文書とともに「印紙税過誤納確認申請書」を所轄税務署に提出すれば納めすぎた印紙税は還付してもらえます。 |
Q 売掛金と買掛金とを相殺する場合の印紙税の取扱い |
売掛金について、自己の買掛金と相殺する場合、印紙税の取扱いと領収書の記載の仕方ついて教えてください。 A 一般に領収書には印紙を貼らなければいけないと思われていますが、印紙税がかかるのは「売上代金に係る金銭または有価証券の受取書」と規定されています。売掛金と、自己の買掛金を相殺し、領収書を発行することは上記金銭または有価証券の受取書には該当しませんので、印紙を貼る必要はありません。 ただし、たとえ、売掛金と買掛金の相殺を証明するために作成される領収書であっても、その事実が文書上明らかでないときには、その領収書は金銭または有価証券の受取書とみなされてしまいますので、下記のように相殺の事実が証明できる領収書を作成する必要があります。
ちなみに、売上代金を「商品券」「プリペードカード」「ビール券」で受け取った場合の領収書は、上記の売上代金に係る有価証券の受取書に該当しますので、3万円以上の領収書には印紙を貼る必要があります。 |