3 株式交換制度

−持株会社設立で連結納税制度に備える?−

 平成11年度商法改正では、企業グループを形成するための有効手段である完全親会社(法人税法上は特定親会社)の創設を簡易かつ円滑に行うことができる株式交換制度が新たに導入されました。
 将来導入が検討されている連結納税制度に備え企業グループの再編が必要な場合にも有効な手段となるでしょう。
 この株式交換制度を税制面でも後押しするために、改正商法の施行日(平成11年10月1日)以後の商法上の株式交換制度による株式譲渡益に対しては、課税を繰り延べる措置が平成11年度税制改正により講じられました。

 
【1】株式交換制度の概要 (商法352〜372)
 
1.概要
 
 株式交換制度には次のように(1)株式交換による完全親会社の創設(2)株式移転による完全親会社の設立の2通りの方法があります。
(1)



手続
A社はB社を完全子会社(100%直接保有子会社、法人税法上は特定子会社)とするために、株主乙が所有するB社株式をA社株式に移転させる代わりに、株主乙にA社株式を割当てる。
株主乙にとっては、B社株式とA社株式を交換したことになる。
A社はB社の完全親会社(100%直接保有親会社)となる。
A社が保有している自己株式を株主乙に交付することも可能。
(2)




手続
A・B社の完全親会社(純粋持株会社)を創設するためにH社を新たに設立し、株主甲・乙がそれぞれ所有するA・B社株式をH社に移転させる代わりに、甲・乙にH社株式を割当てる。
株主甲・乙にとっては、A・B社株式とH社株式を交換したことになる。
A・B社はH社の完全子会社となる。
 
 上記のA・B社ともに事業を行っている事業会社であるとすると、(1)株式交換の場合には事業会社A社が事業会社B社を子会社化したことになり、(2)株式移転の場合には事業会社A・B社の持株会社H社を設立したことになります。
* 株式の割当てと同時に金銭又は資産(株式交換交付金)が支払われることがあります。
 

2.手続及び要件
 
 商法上、株式交換制度の手続及び要件等は次のようになっています。

手   続 要 件 等
株式交換契約書又は株式移転の議案の作成
株式交換契約書又は株式移転の議案の事前開示
株式交換契約書及び株式移転の議案の株主総会の特別決議による承認 *
株式交換及び株式移転に関する事項を記載した書面の事後開示
完全親会社となる会社の増加資本金は、完全子会社となる会社の純資産価額に移転株式割合を乗じた額から株式交換交付金を差し引いた金額が限度となります。
反対株主に対して株式買取請求権が認められます。
株式交換手続に瑕疵があった場合、株式交換の日から6月以内に限り無効の訴えを提起することができます。
* 一定の場合、株主総会の特別決議を要せず取締役会決議のみで可能です。

 
【2】株式交換制度の課税の特例
 
 税務上は株式の交換(移転)も原則として譲渡として取り扱われるため、譲渡益に対して課税がなされます。しかし、これでは企業の組織再編が円滑に行われずわが国企業の国際競争力が低下することになりかねないため、税制面でも商法上の株式交換制度による株式交換等については、一定の要件のもとに課税の繰延べを認めています。(措法67の9の2、3)
 
制度の内容等 要  件  等
(1) 株式交換及び移転が行われた場合の完全子会社の従前の株主(譲渡株主)についての譲渡益課税の繰延べ
完全親会社の完全子会社株式受入価額が、株式交換直前の完全子会社の株主の帳簿価額(完全子会社の株主数が50人以上の場合、株式交換直前の完全子会社の簿価純資産価額)以下であること。
株式交換交付金の割合が5%未満であること。
(2) 完全親会社が新株の発行に代えて自己株式を交付した場合
完全親会社については自己株式の帳簿価額を時価とみなして自己株式の譲渡益課税は行われません。
(3) 株式交換交付金がある場合の譲渡利益額又は損失額の計算
株式交換
交付金
完全子会社株
式の帳簿価額
× 株式交換交付金
新株の価額+株式交換交付金
(4) 完全親会社株式の新株の取得価額
完全子会社の株主の帳簿価額 ± (3)の額 − 株式交換交付金

 
【3】株式移転後の子会社株式等の譲渡益課税の繰延べ
 
 下記の図のように既にグループ会社となっている子会社を、純粋持株会社を設立し組織再編する場合にも、親会社の子会社株式譲渡益に対して譲渡益相当額を損金に算入することにより課税の繰延べ措置が講じられています。(措法67の9の4)
 
手続
 
<要件>
(1)  子会社株式(B社株式)の時価が帳簿価額を超えていること。
(2)  完全親会社(H社)の子会社(B社)株式受入価額が、譲渡直前の完全子会社(A社)の帳簿価額相当金額であること。
(3)  株式移転による完全親会社(H社)の設立の日を含む事業年度から、設立の日以後1年を経過した日を含む事業年度までのいずれかの事業年度に子会社(B社)株式の全部の譲渡を行っていること。
(4)  完全子会社(A社)が完全親会社(H社)の設立の1年前の日から譲渡した日までその全株を保有している子会社(B社)に限ること。

 

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