3 欠損金の繰越控除と繰戻還付

−決算で欠損が出てしまった。さて…?−

 法人税などは基本的に事業年度を基準にして税金の計算が行われるため、事業年度によって赤字になったり黒字になったりするような会社について、単年度ごとの計算だけで税金の計算を行ってしまうと税負担が不合理な結果となってしまいます。

 そこで、所得金額がマイナスになった場合には、前年度の黒字と通算して税金を計算した結果、納めすぎとなった税額を還付する制度(欠損金の繰戻還付制度。ただし、設立後5年以内の中小企業者等を除き平成12年3月31日までに終了する事業年度において生じた欠損金については適用が停止されています。)と、将来5年間に生じた黒字から、当該欠損金を控除することができる制度(欠損金の繰越控除制度)によって、税負担の調整が図られています。


【1】欠損金の繰越控除制度 (法法57)

制度の内容 要  件
当期の所得金額から、当期前5年以内に開始した事業年度に生じた欠損金を控除する 欠損金の生じた事業年度において青色申告書を提出し、かつ、その後も連続して確定申告書を提出していること


 アドバイス
 税務上、繰越欠損金は5年で切り捨てられます。欠損金が控除できれば、それに対応する分税金が減るわけですから、欠損金が切り捨てられるということは、減るはずだった税金がみすみす無駄になってしまうことを意味します。
 繰越欠損金のある会社は、5年で切り捨てられるということに十分注意しておきましょう。


【2】欠損金の繰戻還付制度 (法法81)



【3】特定の法人に係る欠損金の繰越期間の特例

 青色申告法人である特定の事業者の欠損金(特例欠損金)について、【1】に記すとおり通常5年とされている欠損金の繰越期間の特例として「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法」の特定対内投資事業者に関する欠損金について10年間、「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」(以下「創造活動促進法」)等の認定を受けた中小企業者に関する欠損金について7年間の繰越しが認められています。(措法66の13)

創造活動促進法等による「特定の中小企業者の前7年以内の特例欠損金の損金算入」制度の概略

対象法人
(1) 平成7年4月14日から平成13年3月31日までの期間内に創造活動促進法の認定を受けた研究開発等事業を実施する中小企業者(大規模法人の子会社を除く。)
(2) 平成7年4月1日から平成13年3月31日までの期間内に特定通信・放送開発事業実施円滑化法の認定を受けた実施計画に係る通信・放送新規事業を実施する中小企業者
(3) 平成8年4月1日から平成13年3月31日までの期間内に特定新規事業実施円滑化臨時措置法(以下「新規事業法」)の特定新規事業*の実施計画の認定を受けた中小企業者
* 特定新規事業とは、いわゆるベンチャー企業のうち、新製品の生産・新たな役務の提供を行う事業のうち通産大臣の所掌に係るもので、当該事業に係る商品・役務が事業活動に係る技術の高度化、経営の能率の向上、国民生活の利便の増進に寄与するものをいいます。(新規事業法2)
対象欠損金 青色申告書を提出する上記の法人が、各認定の日を含む事業年度(その日が当該法人の設立の日前である場合には、当該設立の日を含む事業年度)から当該設立の日以後5年を経過する日を含む事業年度までの各事業年度の欠損金(特定の事業者の設備廃棄による欠損金は除きます。)
適用要件
以下の二つをいずれも満たす場合に認められます。
(1) 当該特例欠損金額の計算に関する明細書(別表七)及び一定の書類を添付した青色申告書である確定申告書を提出していること
(2) その後、連続して確定申告書を提出していること
 
 注 意
この特例の適用を受ける場合は、欠損金の繰戻し還付の適用はないこととされています。


【4】青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越し

 災害により生じた一定の欠損金については、青色申告書を提出しなかった法人であっても5年間の繰越しが認められています。(法法58)

災害の範囲
法法58(1)
法令11
自然現象の異変による災害 (震災、風水害、火災、冷害、雪害、干害等)
人為による異常な災害 (鉱害、火薬類の爆発等)
生物による異常な災害 (害虫、害獣等)
対象資産の範囲
法法58(1)
法令114
棚卸資産、固定資産 (長期貸付金、投資有価証券等は含まない。)
繰延資産 (他の者の有する固定資産を利用するために支出されたものに限る。)
繰越損失金の額
(法令116)
上記の資産に生じた損失 保険金、損害賠償金等により
補填された金額
(取壊し・除却その他
の付随費用を含む。)
* 災害損失の額は、災害の発生した日、又はやんだ日の属する事業年度において損金経理した金額に限られます。ただし、災害のやんだ日の翌日から1年を経過した日の前日までに支出した取壊費等を当該支出の日の属する事業年度に損金経理したときは、この額も災害損失金として認められます。(法基通12−2−1)
適用要件
(法法58(2))
以下の二つをいずれも満たす場合に認められます。
(1) 当該欠損金額の計算に関する明細書(別表七)を添付した確定申告書を提出していること
(2) その後、連続して確定申告書を提出していること

 

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