3 清算所得とみなし配当課税
−合併された会社と株主の税金−
 
合併によって被合併法人は消滅することになりますが、法人税法上次の2点について考慮する必要があります。

(1)  通常の事業年度としての課税…その事業年度開始の日から合併の日(合併期日の前日)までを一事業年度とみなして、通常の事業年度と同様に法人税等が課税されます。(合併期日により事業年度の月数は12か月以下となる場合があるので、交際費の定額控除限度額、中小法人の軽減税率適用所得枠等について月数を考慮する必要があります。)
(2)  清算所得としての課税…被合併法人は合併により消滅することになり、清算所得に対して課税されます。

 また、被合併法人の株主は、合併により合併法人の株式及び金銭の交付を受けることになりますが、場合によってはみなし配当課税が発生します。


【1】 被合併法人に対する清算所得課税

 被合併法人が合併により消滅し清算所得が発生した場合、その清算所得に対して法人税、法人住民税及び法人事業税が課せられます。清算所得は、次の算式で求められます。(法法111、112、115)
 
精 算 所 得
被合併法人の株主等が合併法人から交付を受ける合併法人の株式等並びに合併交付金及びこれらの資産以外の資産の価額の総額 被合併法人の合併時における資本金、資本積立金及び利益積立金の合計額
×
30.7%*

清算所得に
対する法人税
 
*  清算所得に対する法人事業税が法人税の課税所得の計算上損金に算入される機会がないため34.5%の税率を30.7%(改正前33%)に調整しています。
 なお、協同組合等の場合の清算所得に対する法人税率は23.1%(改正前24.8%)です。
 また、法人住民税及び法人事業税の税率は通常の場合と同一です。
 なお、改正後の税率は平成10年4月1日以後の解散又は合併による清算から適用されます。
 
 被合併法人の最終年度の利益の配当として交付される合併交付金は除かれますが(法令170の2)、合併法人が納付する被合併法人の清算所得に対する法人税等については、本来被合併法人が負担するものとして合併交付金とみなし、これに含めます。(法法113)
 
 次の場合には、以下の金額を控除します。
i )  抱合株式(合併法人が所有していた被合併法人の株式)に対して新株を割当てしなかった場合
……その対応する部分の資本金
ii)  被合併法人の資本積立金又は利益積立金を合併法人に引き継いだ場合
……その引き継いだ資本積立金又は利益積立金
 
MEMO
上記算式の「被合併法人の合併時における資本金、資本積立金及び利益積立金の合計額」は、被合併法人の純資産の金額ですから、その純資産の金額以上に、すなわち、被合併法人の含み益に対して新株等を交付すると清算所得が発生し、課税されるということです。

  
【2】 被合併法人の株主に対するみなし配当課税

 合併により被合併法人の株主は、合併法人の株式及び合併交付金を取得することになりますが、その場合、みなし配当として課税される場合があります。

 ここでは、株主が法人の場合と個人の場合に分けて説明します。(法法24、所法25)
 
法人株主
の場合

(法令23)
個人株主
の場合

(所令61)
*被合併法人の資本積立金を合併法人に引き継いだ場合には除きます。
  (法基通3−1−9、所基通25−1)

 以上のように、個人株主については旧株をいくらで購入したかにかかわらずみなし配当金額は算定されますが、法人株主については旧株の帳簿価額によりみなし配当の金額が異なってきます。

 法人株主と個人株主とで、みなし配当の金額がどのように異なってくるのかを、旧株の帳簿価額を3つのケースに分けて説明すると下のようになります。ただし、被合併法人の資本積立金はすべて合併法人に引き継がれていないものとします。



MEMO
 被合併法人では、合併交付新株と合併交付金の合計額が、交付の基因となった資本金及び資本積立金を超える場合には(個人株主のみなし配当の計算と同じ)、20%の所得税を源泉徴収する必要があります。
 従って、ケース3のように法人株主についてはみなし配当が生じない場合であっても、所得税が源泉徴収(この場合60円)される場合があります。

 

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