PART2 2-2-1 |
2.2.1 消費税とはどんな仕組みの税金なのか |
消費税は、課税しないとした特定の物品・サービスの取引(非課税取引)以外は、すべてにかかります。消費者が担税者、そして事業者が納税義務者となる税金です。また、消費税は、流通の各段階で課税されますが、転嫁されて、最終的には消費者が負担することが予定されています。 ◎消費に広く課税 消費税は、国内の対価性がある経済取引全般を広く課税の対象にしています。したがって、非課税取引となるもの((1)資本取引・金融取引、(2)政策的配慮による一部の医療、福祉、教育など)を限定列挙し、それ以外のすべてを課税対象とする仕組みになっています。いいかえると、課税対象とならない特定の物品・サービス取引だけを非課税取引として法令などに列挙する形をとっています。 ◎消費税法の基本的な骨格 消費税法を学ぶ場合、消費税法(1988(昭和63)年法律108号)の基本的な骨格を知っておくことは、基礎知識として大事です。消費税法の基本的な骨格を図示すると、次のとおりです。 ●消費税法の基本的な骨格
◎国内取引が課税の対象 消費税は、あくまでも国内において消費される物品・サービスの販売、提供を課税対象とします。これは、各国の租税に関する主権を相互に尊重しようとする国際慣行からくるものです。こうした考え方を消費地課税主義あるいは仕向地課税主義といいます。 例えば、日本の会社がEUの会社に電化製品を輸出するとします。この輸出品には、日本の消費税が課税されることはありません。このように消費税を課税しないための措置を、輸出免税といいます(消税法7)。 具体的には、輸出売上高にゼロ%の税率を掛ける形での免税方式によっています。ゼロ%で課税されることから、結果的に、仕入れ等に含まれる税額の控除または還付を求めることができます(したがって、輸出免税措置は、仕入れ等にかかる消費税が控除されない非課税措置とは大きく異なります)。 ◎仕入(前段階)税額控除で税の累積を排除し、最終的に税を消費者に転嫁する仕組みの税金 消費税の納税義務者は事業者です。消費税は、製造・生産、卸売、小売の各段階で課税されます。しかし、事業者間では次から次へと転嫁され、最終的には消費者が税の負担者(担税者)になることが予定されている間接税(*1.2.6)です。つまり、事業者に課される消費税は、コストとして物品・サービスの販売価格に織り込まれて転嫁され、最終的に消費者が負担することが予定されています。 税が累積することなく事業者間で次々に転嫁され、最終的には消費者に税を負担させるためにあるのが、「仕入(前段階)税額控除」の仕組みです。この仕組みにより、事業者は課税売上げにかかる消費税額から課税仕入れ等にかかる消費税額を控除し、その差額を納税することになります。 この仕入(前段階)税額控除の仕組みは、現実の経済取引を簡素化して図で示すと、次のようになります。 ●前段階税額控除 ◎仕入(前段階)税額控除は帳簿等で確認 わが国の消費税では、仕入(前段階)税額控除は、「帳簿および請求書等」で行うことになっています(消税法30)。 これに対し、EU諸国をはじめとする多くの国々の付加価値税では、仕入(前段階)税額控除をインボイスで行っています。すなわち、取引内容、税率、税額、取引金額など法定事項が記載されたインボイス(税額交付票)が、納品書、請求書とは別個に事業者間取引でやりとりされています。 そして、このインボイスを集計することによって、仕入税額控除などの納税事務が行われます。逆にいえば、インボイスがない取引では、原則として、仕入税額控除が受けられないことになります。 |