目次 II-6


6 異議申立ての実務

1 異議申立ての概要

 異議申立ては、処分または不作為を行った行政機関に対する不服申立てである(行服法第3条第2項)。国税の場合には、国税通則法において行政上の異議申立てを含め不服申立手続きが詳細に規定されており(通則法第75条ないし第112条)、一般法である行政不服審査法を適用する余地は少ない。

 異議申立ては、処分のあったことを知った日の翌日から起算して2か月以内(通則法第77条第1項)に、一定の事項を記載した書面の正本一通を、当該処分をした行政機関の長に対して提出することにより行われる(行服法第9条第1項・第2項、通則法第81条第1項)。

 異議申立てがされている税務署長その他の行政機関の長を、異議審理庁といい(通則法第81条第2項)、異議審理庁による処分についての異議申立ての審理は、審査請求の審理の規定が準用され(行服法第48条)、書面により行われるのが原則である(行服法第25条)が、口頭による意見陳述もできる(通則法第84条)。そして、異議審理庁の審理を経て、異議決定の理由を附した異議決定書の謄本が、異議申立人に送達されることにより、異議申立てが終了する。

【異議申立ての流れ】

【異議申立ての流れ】


2 異議申立書の書き方

 異議申立書には、
  1) 異議申立てに係る処分
  2) 異議申立てに係る処分があったことを知った年月日(当該処分に係る通知を受けた場合には、その受けた年月日)
  3) 異議申立ての趣旨および理由
  4) 異議申立ての年月日
が記載されていなければならない(通則法第81条第1項)。

 異議申立書の用紙は、税務署および国税不服審判所で受け取ることができる。


3 異議申立書の提出先

 異議申立ては、国税に関する法律に基づく処分で次に掲げる処分についてすることができる。異議申立書の提出先は以下のとおりである(通則法第75条)。

  1) 税務署長がした処分
 →  その処分をした税務署長
  2) 国税局長がした処分
 →  その処分をした国税局長
  3) 国税庁長官がした処分
 →  国税庁長官
  4) 税関長がした処分  →  その処分をした税関長
  5) 国税に関する法律に基づき税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が国税局の職員または国税庁の職員によってされた旨の記載がある書面により通知されたもの
   → 国税局の職員 → その処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長
   → 国税庁の職員 → 国税庁長官


4 異議決定の時期

 異議申立てに対する決定の時期についての規定はないが、異議申立てをした日の翌日から起算して、3か月を経過しても決定がないときは、異議申立前置主義の例外として、直ちに審査請求することが認められる(通則法第75条第5項)。そこで、実務上、3か月以内に異議決定がなされることが多い。

 

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