目次 II-4


4 不服申立ての当事者となれる人は?

1 不服申立人

 1 不服申立適格

 (1) 不服申立てができるのは、国税に関する法律に基づく処分によって直接自己の権利または法律上の利益を侵害された者

 (2) 破産者、破産会社、更生会社、再生債務者の場合

  1) 破産者、破産会社
破産法に基づく破産宣告に伴い破産管財人が選任されたときは、破産管財人が不服申立てをすることができる(破産法第7条)。そして、原則として、破産者および破産会社の代表取締役は不服申立てをすることはできない。
ただし、破産宣告があった場合であっても、破産財団に関しないものについては、破産者が不服申立てをすることができる。

  2) 更生会社
会社更生法に基づく保全管理命令が発せられ保全管理人が選任されたときは保全管理人が、更生手続開始決定に伴い管財人が選任されたときは管財人が、不服申立てをすることができる(会社更生法第32条、第72条)。
ただし、会社更生法第72条第4項および同条第5項の規定により、更生認可の決定後の更生会社については、代表取締役が不服申立てをすることができる場合がある。

  3) 再生債務者
原則として、再生債務者および再生債務者の代表取締役は、不服申立てをすることができる。
しかし、民事再生法に基づく保全管理命令が発せられ保全管理人が選任されたときは保全管理人が、管理決定が発せられ管財人が選任されたときは管財人が、不服申立てをすることができ、再生債務者および再生債務者の代表取締役は不服申立てをすることができない(民事再生法第81条、第66条)。


2 代理人

 代理人とは、不服申立人のために不服申立てに関する一切の行為をするものをいう。不服申立ての手続きは専門的であり、納税者にとって必ずしも容易であるとはいえない。そこで、不服申立人は、弁護士、税理士、その他適当と認める者を代理人に選任することができるものとされている(通則法第107条第1項)。

 ただし、国税通則法上は、不服申立人の代理人の資格について制限を設けてはいないが、代理人となって行う事務が、税理士法第2条に定める税理士業務である場合は税理士法上の制限があり、税理士または所定の手続きを踏んだ弁護士に限られる(税理士法第51条以下)。税理士法第2条本文の「…を業とする」とは、その事務を継続反復して行い、または反復継続する意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しないと解されている(異議通107−2(注)、審査通107−2(注))。

 なお、納税管理人(通則法第117条参照)については、代理人としての申出があった場合は代理人として取り扱われるが、申出なく当然に代理人となるわけではない(異議通107−1、審査通107−1)。納税管理人より上記申出がある場合は、遅滞なく書面による証明をするものとされている(異議通107−1、審査通107−1)。

 代理人の権限は、書面で証明しなければならない(通則法第107条第3項)。


3 総 代

 (1)共同不服申立人による選任

 多数人が共同して不服申立てをするときは、3人を超えない総代を互選することができる(通則法第108条第1項)。本条にいう「共同して不服申立てをするとき」とは、複数の不服申立人が一つの処分または同一の事実上および法律上の原因に基づき画一的に処理されなければならない複数の処分について、共同して不服申立てをするときをいう(異議通108−1、審査通108−1)。たとえば、1)複数の抵当権者が1つの差押処分について共同して異議申立てまたは審査請求をする場合、2)複数の相続人が相続税の課税価格の合計額もしくは相続税の総額に係る各相続人の相続税額についてされた更正処分について、共同して異議申立てまたは審査請求をする場合などがこれにあたる(異議通108−1、審査通108−1)。

 総代が複数選任された場合でも、異議審理庁、国税不服審判所長または担当審判官の共同不服申立人に対する通知その他の行為は、総代のうち1人に対してすれば足りるものとされていること(通則法第108条第5項)に注意が必要である。

 共同不服申立てとしては不適法である場合であっても、個々の不服申立人の不服申立てとしては適法であるかまたは補正可能な場合は、当該不服申立人が個別の不服申立てをする意思がないと認められる場合を除き、その個々の不服申立人の不服申立てとして取り扱われる(異議通108−2、審査通108−2)。

 総代の権限は、書面により証明しなければならない(通則法第108条)


 (2)互選命令

 共同不服申立人が、総代を互選しない場合は、異議審理庁または国税不服審判所長は、必要があると認めるときは、総代の互選を命じることができる(通則法第108条第2項)。


4 参加人

 不服申立人となることのできない利害関係人は、異議審理庁または国税不服審判所長の許可を得て、参加人として不服申立てに参加することができる(通則法第109条第1項)。

 同条項にいう「利害関係人」とは、異議決定または裁決の結果につき法律上の利害関係を有するものをいう。1)不服申立人と利害が相反する者で、その処分の取消しによって法律上の不利益を被る者(たとえば、滞納者から公売処分取消しの異議申立てまたは審査請求がなされた場合の公売財産の買受人)や2)共同不服申立人となり得る立場にありながら、自らは、不服申立てをしなかった者がこれにあたる(異議通109−1、審査通109−1)。

 

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