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3 敵対的買収者に狙われやすい会社 |
敵対的買収者に狙われやすい会社には、以下の特徴があります。
また、買収リスクを診断するにあたり、基本となる指標は以下のとおりです。特に、PBR(1株あたり簿価純資産)が1倍以下の場合には、注意が必要です。買収リスクについて何パーセントと計量化できないため、同業他社、過去に敵対的買収にあった企業と比較して相対的なリスクを把握するのが現実的です。
(事例)過剰な現預金を有している場合 A社の場合には、有利子負債が2,000に対して、現金および現金等価物が1,000あり、仮に全額有利子負債の返済に充当したとしても、1,000だけの借入金が残ることになり、余剰資金はないことになります。買収者はキャッシュを投資し、当然、キャッシュでのリターンを考えますので、買収者からすれば、A社に投資上の他の魅力がないと買収に名乗り出ないことになります。ケース1の場合には、株主価値3,000に対して、時価総額が5,000となっていますので、安く買収できないことになり、敵対的買収のターゲットにはなりにくいと考えられます。ケース2の場合には、株主価値3,000に対して時価総額が1,000となっていますので、フィナンシャル面では、有利子負債が1,000だけありますが、事業戦略上の提携、有望な技術等事業戦略面でのターゲットとなれば、敵対的買収のターゲットになる可能性があります。 一方、B社の場合には、財務上、現預金等が3,000に対して、有利子負債が1,000あり、それを全額返済したとしても、2,000だけの余剰資金があることになります。もし、2,000よりも安く支配権を獲得すれば、その余剰金は配当等により買収者である株主に還元し、投下資本の回収ができることになります。 したがって、ケース3では、余剰資金があるものの、時価が高いため、買収に伴う投下資金が多くなる可能性があるのに対して、ケース4では、資金余剰があることに加え、株主価値4,500に対して時価総額が1,000となっており、仮に1.5倍の1,500で100%買収したとしても、ネット2,000のキャッシュを入手できますので、直ちに投下資本を回収し、500だけのキャッシュを入手できること になります。 |