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取締役の資格は欠格事由に該当する場合を除き、特に制限がない。 |
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欠格事由は成年被後見人もしくは被保佐人等である。 |
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取締役は一定の他社の取締役、監査役、会計監査人との兼任が禁止されている。 |
1 被選資格
取締役の資格については下記欠格事由に該当する場合を除き、特に制限がありませんが、公開会社では定款によっても取締役を株主に限定することはできません(会331)。株式譲渡制限会社では、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができます(会331)。
2 欠格事由
取締役は会社の業務を執行し、その財産を管理するという重要な職務を有します。その職務が適切に行われなければ、利害関係者に多大な損害を及ぼします。旧商法では昭和56年の改正で取締役の欠格事由が明文化されました。会社法では、破産宣告を受け復権していない人が欠格事由から除かれ、次のいずれかに該当する場合は、取締役になることはできません(会331)。
[1] 法人
[2] |
成年被後見人もしくは被保佐人または外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
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[3] |
会社法もしくは中間法人法の規定に違反し、または金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法もしくは破産法中の特定の規定の罪を犯し、刑に処せられ、その刑の執行を終わった日または刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない人
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[4] |
上記以外の罪により禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わっていない人またはその執行を受けることがなくなっていない人(ただし、刑の執行猶予中の人は除く) |
3 兼任禁止
次の場合には、会社の取締役は兼任が禁止されています。
(1) 他社の取締役との兼任
国内の健全な競争を阻害するおそれがあるため、一定規模以上の会社の取締役は次の兼任が禁止されています。
・競合関係にある他の会社の役員(独禁法13)
(2) 他社の監査役との兼任
会社の監督機関としての監査役の独立性を確保するために、取締役は次の兼任が禁止されています。
[1] 自社の監査役(会335)
[2] 親会社の監査役(会335)
(3) その他の兼任
被監査会社との関係で経済的独立性を有しないおそれがあるため、公正な監査を期待できないことから設けられたものです。
・会計監査人との兼任(公認会計士法24)
また、委員会設置会社については、取締役は当該株式会社の支配人その他の使用人を兼ねることができません(会331)。 |