3 標準報酬
 
(1) 報酬とは

 健康保険及び厚生年金保険において「報酬」という場合、被保険者が事業主から労働の対償として受けるすべてのものをいい、それが金銭で支払われるものであると、現物で支払われるものであるとに関係なく、労働の対償として支払われる一切のものを含みます。
 この場合、報酬が現物で支払われたときは、金銭に換算した額を報酬としますが、衣服、食事、住宅については、都道府県知事がその地方の時価を基にして定めた標準価額によって金銭に換算します。
 なお、報酬の中には所得税において一定部分が非課税とされている通勤手当や日・宿直手当も含まれますから注意してください。
 報酬の範囲をまとめますと、次表のようになります。

【報酬となるもの・ならないもの】
区分 金 銭 に よ る も の 現物によるもの
報酬となるもの 基本給(月給・週給・日給など)、能率手当、残業手当、勤務手当、役付手当、精勤手当、家族手当、勤務地手当、通勤手当(所得税において非課税となる部分の金額も含みます。日・宿直手当においても同じ。)、日・宿直手当、住宅手当、私傷病手当、賞与(年4回以上)など 通勤定期券、自社製品、被服(勤務服でないもの)、食券・食事、社宅・寮など
報酬の範囲から除かれるもの 年3回以内の賞与・決算手当(これは、健康保険・厚生年金保険の特別保険料の対象となります。)、大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職金、出張旅費、交際費、慶弔費など 制服・作業衣、見舞品、生産施設の一部である住居など
 

(2) 報酬月額の届出

 で述べたように、保険料は、標準報酬を基にして決定されます。そして標準報酬は報酬月額を基にしています。したがって、正しい保険料の徴収には正確な報酬月額の算定が一番大切なことになります。
 報酬月額は、次表の区分欄に掲げる場合に、事業所において算定して社会保険事務所に届け出ます。

 【報酬月額算定の時期、算定の対象となる期間等】
区分 算定時期 算定の対象となる期間等
資格取得の場合(新入社員等の場合) 資格取得時
 その事業所における報酬の支払実績がありませんから、算定対象期間がなく、次の方法により算出した額を報酬月額として、「被保険者資格取得届」に記載して届け出ます。
(i)  月給や週給などのような期間給の場合は、資格取得日(入社日)現在の期間給の額を、その期間の総日数で除して30倍した額
(ii)  日給、時間給、出来高給、請負給などの場合は、その事業所で、資格を取得した者と同様の業務に従事し、同じような形態の賃金を受けている者が前月に受けた賃金の平均額
(iii)  (i)又は(ii)の方法で計算できない特殊な場合は、その地方で同じような業務に従事し、同じような形態の賃金を受けている者が前月に受けた賃金額
(iv)  (i)〜(iii)のうち二つ以上に該当する場合は、それぞれの方法で計算した額の合計額
定時決定の場合 毎年8月1日現在  5月、6月、7月の報酬及びその平均月額を「被保険者報酬月額算定基礎届」に記載して届け出ます。
随時改定の場合 昇給等の固定的賃金の変動があった月以後引き続く3か月間に受けた報酬の平均月額を標準報酬にあてはめて現在の等級と2階級以上の差ができるとき  固定的賃金の変動のあった月以後引き続く3か月間の報酬及びその平均月額を「被保険者報酬月額変更届」に記載して届け出ます。
 

被保険者資格取得届の記載例

(注)  この届けは、従業員として採用された日(この日が資格取得日となります。)から5日以内に次の書類を添付して社会保険事務所へ提出します。
(i) 扶養家族がある場合は、被扶養者届
(ii) 過去に厚生年金保険又は国民年金保険の被保険者であった人については年金手帳
(iii) 厚生年金保険の老齢年金、通算老齢年金、特例老齢年金又は船員保険の老齢年金の支給を受けている人は、その年金証書
 
(注)
 
 上述のとおり、被保険者の資格取得日は入社の日ですが、資格喪失日は、退職の日又は死亡の日の翌日となりますので、注意してください。(退職等のあった場合は、社会保険事務所へ「被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。)なお、資格の得喪日は、保険料の徴収の要否に関係してきます。(6の(2)参照
 

(3) 標準報酬の決定

 (2)により各事業所から一定の時期にそれぞれの届出書が提出されますと、社会保険事務所では、記載された報酬月額を標準報酬の表にあてはめて、健康保険、厚生年金保険の別に各人の標準報酬を決定又は改定して各事業所に通知します。この標準報酬が次の改定又は決定のときまでの保険料の算定基礎となるわけです。
 上の資格取得届の記載例で説明しますと、報告された報酬月額は175,000円ですから、標準報酬は「標準報酬月額・保険料額表」に当てはめて、180,000円(12等級)となります。


 
(注1)  事業所が社会保険事務所へ次の届けを提出したときは、それぞれ次に掲げる通知書に標準報酬月額等が記入されて返ってきます。
被保険者資格取得届→被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
被保険者報酬月額算定基礎届→被保険者標準報酬決定通知書
被保険者報酬月額変更届→被保険者標準報酬改定通知書
(注2)  二つ以上の事業所に勤めている人の標準報酬は、それぞれの事業所ごとに別々に標準報酬がきめられるのではなく、それぞれの報酬を合算した額を基に、一つの標準報酬がきめられます。
 この場合、甲事業所と乙事業所の管轄社会保険事務所(保険者)が異なっているような場合は、本人が「保険者選択届」を提出して、いずれかの社会保険事務所を選ぶことになっています。
 仮に、甲事業所を管轄する丙社会保険事務所を選択しますと、本人の保険料徴収や保険給付は、乙事業所の分も含めてすべて丙社会保険事務所を通じて行うことになります。(保険料は、それぞれの事業所での報酬に比例あん分して徴収します。)
 

(4) 標準報酬の有効期間

 (3)により決定・改定された標準報酬は改正のない限り次表の区分に応じた有効期間の間使用されます。
区 分 有 効 期 間
資格取得時決定によるもの 1月1日から6月30日の間に決定されたものは、その年の9月30日まで(最長9か月間有効)
7月1日から12月31日の間に決定されたものは、翌年の9月30日まで(最長15か月間有効)
定時決定によるもの その年の10月1日から翌年の9月30日まで(最長12か月間有効)
随時改定によるもの 1月1日から7月31日までの間に改定されたものは、その年の9月30日まで(最長9か月間有効)
8月1日から12月31日までに改定されたものは、翌年の9月30日まで(最長14か月間有効)
 
(注)
 
 資格取得時決定又は定時決定による標準報酬の有効期間は、その間に随時改定がない場合の有効期間です。

 

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