第3部 1-1(2) |
(2) 財産評価実施上の留意事項 [1] 利用形態 土地には自宅又は事務所や工場として利用する場合、土地そのものを賃貸借している場合、又は土地の上に建物や構造物を建てて賃貸借する場合、さらには高圧線などがあるために建築制限が必要な場合など様々な利用形態が考えられます。 財産評価上においては、基本となるのは自己所有の自用地としての評価ですが、貸地の場合や土地の上に地上権等が発生する場合は自用地としての価額から借地権や地上権などの価額を減額した評価額になりますし、また貸アパートなどを自己の所有地に建築して賃貸を行っている場合などには、いわゆる貸家建付地として、自用地としての価額から評価額は減額されることとなります。 [2] 評価単位 土地の評価上の区分は次に掲げる地目の別に評価します。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうち主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価します。
[3] 特殊な形状等 路線価方式においては、その宅地の所在地区、路線に接している状況、形状、地積等に応じて、奥行価格補正、不整形地補正、無道路地補正、間口狭小補正、がけ地補正等の減額調整、又は、側方(角地)、二方、三方、四方路線影響加算等の加算調整により価額の調整を行う場合があります。 各補正の具体的な計算方法は以下イ〜ヌのようになっています。 イ.奥行価格補正 一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて「奥行価格補正率」を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します(評基通15)。 宅地の価額が、路線からの奥行が深い部分は低くなり、路線からの奥行が浅い部分は高くなること、路線からの奥行が短小な部分しか持たない宅地の価額は低くなることから、このような考えに基づいて、評価する宅地の奥行に応ずる奥行価格補正率を用いた評価額の計算方法を定めています。 ◎奥行価格補正率表
ロ.側方路線影響加算 正面と側方に路線がある宅地(角地)の価額は、(1)正面路線(奥行価格補正率適用後の1平方メートル当たりの価額の高い方の路線)の路線価に基づき計算した価額と(2)側方路線(正面路線以外の路線)の路線価に「側方路線影響加算率表」を乗じて計算した価額との合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。なお、(1)正面路線、(2)側方路線とも奥行価格補正率の適用がある場合には、その適用後の価額になります(評基通16)。 角地は、正面と側面に異なる2系統の路線があるため、利用間口が大きくなって、出入りの便が良くなるほか、採光、通風にも有利であるため、正面路線だけに接する宅地より価額が高くなります。このような考えに基づいて、評価する宅地の側方路線に応ずる側方路線影響加算率を用いた評価額の計算方法を定めています。 |