目次 II-6


6 未分割遺産から生じた収益の帰属

 民法において、被相続人の遺産でまだ相続人間において分割協議が調っていない財産については、各共同相続人の共有に属するものとされていることから、その未分割遺産から生ずる所得についても、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものと考えられています。したがって、所得税等の申告においても、未分割財産から生じる所得を法定相続分であん分した金額が各相続人の所得となります。たとえ、特定の相続人が財産を一括して管理していたとしても、遺産分割協議により相続人が確定していない限り、特定の者の所得として申告することはできません。

 ただし、その後、遺産分割協議が整い、特定の相続人が相続することが確定するに至った場合には、その分割協議に従い、その相続人の所得として申告することになります。

 なお、民法においては、遺産分割の効力は、相続の開始があった日まで遡ることとなっていますが、所得税等の取扱いについては、過年度の申告についてまで遡って修正するのではなく、その分割があった日の属する年分からその相続分に応じて申告することとされています。

 

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