国税庁が公表した平成15事務年度における相続税の調査事績によると、調査件数は12,791件であり、年間の申告件数のうち約4分の1に対して税務調査が行われているといえます。必ずしも、課税価格の多い順に税務調査の対象とされているわけではありませんが、やはり課税価格が3億円を超える申告については、税務調査がある確率は非常に高いと考えておくべきでしょう。
さらに、調査があって申告漏れが見つかったのは11,210件で、申告漏れを把握した件数は調査件数のうち87.6%となっており、非常に高い修正率であるといえます。また、申告漏れ課税価格は、3,860億円、申告漏れ税額は840億円となっています。
では、調査において申告漏れと指摘された原因はどのような財産であったのでしょうか?申告漏れ相続財産の種類別内訳は、土地が19.1%、家屋が1.7%、有価証券が16.7%、現金・預貯金が40.3%となっています。
土地の場合、財産の計上漏れということは考えにくいため、おそらく評価方法の誤りによる過少申告と認定されるケースが大半と思われます。
このことから意図的な申告除外財産の大半は、金融資産(有価証券及び現金・預貯金)で占められていることが分かります。また、仮装・隠ぺい行為があったとして、重加算税が課せられた割合は調査件数に対して16.9%となっています。
◎相続税の調査事績
項 目 |
平成13事務年度 |
平成14事務年度 |
平成15事務年度 |
(1) 調査件数 |
10,282件 |
11,405件 |
12,791件 |
(2) 調査件数のうち申告漏れ件数 |
9,299件 |
10,171件 |
11,210件 |
(3) 同上のうち重加算税賦課件数 |
1,746件 |
1,934件 |
1,894件 |
(4) 申告漏れ課税価格 |
3,463億円 |
3,748億円 |
3,860億円 |
(5) 同上のうち重加算税賦課対象 |
613億円 |
731億円 |
672億円 |
(6) 申告漏れ税額 |
767億円 |
854億円 |
840億円 |
(7) 調査による加算税額 |
118億円 |
138億円 |
138億円 |
(8) 申告漏れ割合((2)/(1)) |
90.4% |
89.2% |
87.6% |
(9) 重加算税賦課割合((3)/(2)) |
18.8% |
19.0% |
16.9% |
(10) 申告漏れ1件当たりの課税価格 |
3,724万円 |
3,685万円 |
3,444万円 |
(11) 申告漏れ1件当たりの税額((6)/(2)) |
825万円 |
840万円 |
749万円 |
(平成15年度版国税庁統計年報書より)
(注1) |
(4)の金額は、申告漏れ財産額から、被相続人の債務・葬式費用(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人からの生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものです。 |
(注2) |
(6)の金額は加算税は含まれていません。 |
〔調査に基づく申告漏れ相続財産額の種類別内訳(構成比)〕 |
(単位:億円、%) |
種 類 |
土 地 |
家 屋 |
有価証券 |
現金・預貯金 |
その他 |
合 計 |
財産額
(構成比) |
738
(19.1) |
64
(1.7) |
645
(16.7) |
1,557
(40.3) |
862
(22.3) |
3,866
(100.0) |
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(平成15年度版国税庁統計年報書より) |
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