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はじめに

 税務調査では、申告内容の適正性と法令適用の適法性がチェックされますが、いずれも税務当局の質問や検査に対して、納税者側が応答する方式で進められます。税務調査の最大の関心事は、課税対象となる「事実の認定」、すなわち課税事実がどうなるのかにあります。そのため、課税事実の存否、正否ないし適否を客観的に裏付け、かつ、立証する「税務証拠資料」を収集し、かつ、整備することが税務調査上のトラブルを回避する最良の手段となります。

 相続税の税務調査は、一般的に相続税の申告後、半年から2年後くらいまでに行われるケースが多いようです。年間5万件弱の相続税の申告件数に対して調査件数が1万件くらいですので、約4分の1の割合で調査を受けることになります。相続財産額が3億円超である申告の全申告件数に占める割合が19%くらいですので、相続財産が3億円超の場合には、必ず税務調査があると考えておくべきでしょう。

 これは、税務調査により申告漏れ財産が発見された場合、相続税の限界税率が高いために、追徴税額も大きくなることがその一因と考えられます。

 相続税の税務調査における修正申告の中に、家族名義の金融資産が被相続人の金融資産と判断され多くの修正事案となっていることなど相続税の税務調査の実態を正しく理解し、適正申告を行うことが何よりも大切です。

 

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