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住宅を取得等するための資金を、父母又は祖父母から贈与を受けた場合において、次の適用要件を満たすときは、贈与税を軽減できる特例制度があります。 《適用要件》
この贈与の特例は、直系血族である父母又は祖父母からの贈与でないと認められません。ですから、例えば、子供の妻(一親等の姻族)に対する贈与は特例贈与になりません。しかし、子供の妻と養子縁組をすれば、縁組後は一親等の(法定)血族となり、この贈与の特例の適用を受けることが可能となります。 この特例を利用すると贈与された金額のうち、550万円までは贈与税の課税がされません。550万円を超えて1,500万円までは5分5乗方式で課税され、通常の贈与税の計算よりも低い贈与税額となるよう工夫されています。
《1,500万円の贈与を受けた場合の税額》 一般の贈与の場合は、次のような計算になります。 (1,500万円−110万円)×50%−190万円=505万円(贈与税額) ◎特例を適用した場合の計算式は次のようになります (1) (1,500万円×1/5+0−110万円)×15%−7.5万円=21万円 (2) (1,500万円×1/5−110万円)×15%−7.5万円=21万円 (3) ((1)−(2))+(2)×5=105万円(贈与税額) なお、その年に住宅取得資金等だけの贈与を受けた場合の特例適用後の税額と通常の税額とを比較すると次表のようになります。
設 例 所有財産 10億円(相続税評価額) 家族構成 本人、配偶者、子1人 孫2人 受贈者 子1人 孫2人 それぞれに住宅取得資金等(1,500万円)を贈与 10億円−(1,500万円×3人)=9億5,500万円 ※贈与しない場合…10億円に対する相続税額 20,380万円(配偶者の税額軽減適用後。以下同じ)
上記設例の場合、相続又は遺贈により財産を取得した子は、その被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けていますので、生前贈与加算の適用があります。しかし、孫は相続又は遺贈により被相続人から財産を取得していないので、たとえ被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けていても生前贈与加算の適用はありません。 なお、特例贈与を受けた個人が、適用を受けた年の翌年以後4年以内に贈与により財産を取得した場合には、贈与税の基礎控除額を前倒しで活用していますので、その後に受けた贈与の金額が仮に年間110万円以下であっても、贈与税の課税対象となることがありますので注意が必要です。
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