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3 贈与の種類 |
(1) 生前贈与 贈与者が生存中に自分の財産を無償で他の人に与えることで、一般に「贈与」といえば生前贈与を指します。
(2) 死因贈与 生前に贈与するが、贈与者が死亡することによって初めて効力が生じる贈与を「死因贈与」といいます。死因贈与も、形としては契約や、生前贈与と同様に当事者間の合意によって成立します。しかし、贈与者が死亡することにより効力が生じる贈与ですので、ほぼ、遺贈についての規定が適用されます。 遺贈とは、遺言で自分の財産の全部又は一部を処分することをいいます。
死因贈与は、税務上の取扱いについても遺贈の規定が適用され、贈与税ではなく、相続税が課税されます。また、この場合、受贈者が配偶者及び一親等の血族(代襲相続人を含みます)である場合を除き、「相続税の2割加算」(注)の適用があります。
死因贈与契約の優位性は、遺贈と異なり贈与者と受贈者間において生前に贈与の意思確認が行われますので、推定被相続人の意向に添った形で財産を移転させることができます。 また、受贈者においては、贈与財産が不動産等の場合、贈与者の承諾を得て所有権移転の仮登記を行うことができます。さらに、贈与の執行人を定めておくことにより、相続人等の承諾や印鑑を受領することなく執行人の権限で仮登記から本登記へ手続を行うことができ、所有権が確実に移転することなどが挙げられます。
(3) 負担付贈与 負担付贈与とは、「債務を弁済することを条件とする」など贈与者だけではなく、受贈者も贈与に対する対価的な債務を負担するものです。 一般的な贈与は贈与者だけが「財産を無償で与える」という義務を負う「片務契約」になりますが、負担付贈与は、受贈者に一定の条件を付けて贈与するため、受贈者もその条件を履行する義務を負う「双務契約」となります。 例えば、「貸家を贈与するが、受贈者は家賃の何割かを贈与者の妻に与える」といったものです。 負担付贈与があった場合、税務上は「贈与された財産の価額−負担額=贈与財産の価額」と考えます。 設 例 父から時価1,000万円、相続税評価額800万円の住宅をもらう代わりに、父の600万円の借金を返済する条件の付いた贈与を受けた場合 1,000万円−600万円=400万円…が贈与財産の価額になります。 ☆注意点☆ 一般的な贈与(前記(1)の贈与)の場合、「贈与された財産の価額」は「相続税評価額」になりますが、負担付贈与の場合は「通常の取引価額に相当する金額」が贈与された財産の価額になります。
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