目次 B-IX-4


 4 養子縁組とその他の税効果等

 養子縁組による相続税の軽減効果以外の税効果については、以下のようなものが考えられます。


(1)登録免許税の適用税率

 不動産の所有権移転登記を行う場合の登録免許税の税率は、遺贈(例えば、孫が遺言により不動産を取得する場合)を原因とする場合が1000分の20であるのに対し、相続(例えば、孫が養子となって不動産を相続によって取得する場合)を原因とする場合には1000分の4に軽減されます。


(2)不動産取得税

 遺贈による不動産の取得は不動産取得税が課されますが、相続による不動産の取得には、不動産取得税が課税されません。

(1)不動産取得税の課税標準
 平成18年1月1日から平成30年3月31日までの間に宅地評価土地の取得があった場合は、通常の評価額の1/2が課税標準になります。

(2)不動産取得税の税率
区 分 本則税率 特例税率 備 考
土 地 4% 3%  特例税率は、平成30年3月31日までの間に取得した不動産が対象になります。
家 屋 4% 3%(住宅)


(3)養子縁組と相続時精算課税

 相続時精算課税は、平成27年以後においては、60歳以上の者から、20歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫が受けた贈与について適用することができます(年齢は贈与の年の1月1日現在のものです)。

 子の配偶者(20歳以上)などと養子縁組すれば、その者は直系卑属である推定相続人に該当し、相続時精算課税によって贈与を受けることができます。その場合、年の途中に養子縁組により贈与者の推定相続人となった場合には、推定相続人となる前に贈与を受けた財産については、相続時精算課税の適用を受けることはできません。

設 例  

 養子縁組の年において、養子縁組前と養子縁組後の贈与がある場合

 ・平成26年1月10日 財産の贈与…(イ)養子縁組前の贈与
 ・平成26年5月14日 養子縁組
 ・平成26年9月20日 財産の贈与…(ロ)養子縁組後の贈与

 この年の贈与について相続時精算課税を選択した場合、養子縁組により贈与者の推定相続人となった以後の贈与(ロ)は、相続時精算課税の適用を受けることができます。したがって、養子縁組前の贈与(イ)については、暦年課税により贈与税額を計算し、養子縁組以後の贈与(ロ)は、相続時精算課税により贈与税額を計算します。

 なお、養子縁組前の贈与(イ)に係る贈与税額の計算に当たっては、基礎控除(110万円)が適用されます。

 なお、養子で相続時精算課税適用者が、その後、養子縁組を解消した場合の課税関係は、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税が適用されます。

【設例:養子縁組の解消(離縁)前後に財産の贈与を受けた場合】

 ・平成25年2月20日 財産の贈与(イ)
 ・平成26年6月24日 養子縁組の解消
 ・平成27年4月30日 財産の贈与(ロ)

 養子縁組の解消前の贈与(イ)について、相続時精算課税の適用を受けている場合には、養子縁組の解消後の贈与(ロ)についても、相続時精算課税が適用されます。


(4)その他

 養子縁組によった親子関係ができることから、養親から以下のような特例贈与などの適用を受けることができます。

(1)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
(2)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
(3)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税
(4)暦年贈与を受けた場合の特例贈与の税率の適用(受贈者が20歳以上である場合に限る。)
(5)遺族基礎年金の受給(養子が18歳未満など一定の要件を満たす場合)

 

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