目次 追録


◆ 追  録 ◆


課税標準額に対する消費税額の端数処理の特例の廃止と経過措置

 平成15年度の税制改正で、平成16年4月1日より消費税の総額表示が義務づけられますが、これへの対応として、財務省令第92号(平成15年9月30日付)が公布され、消費税法施行規則第22条第1項が平成16年4月1日より廃止されるとともに、所要の経過措置が設けられました。

1 改正前の制度

 本来、その課税期間における課税標準に対する消費税額は、その課税期間中において行った課税資産の譲渡等につき受領すべき金額の合計額(税込金額)に100/105を乗じ、これに税率を乗じて計算することを原則としています。しかし、課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額について、「本体価格」と「これに課されるべき消費税額及び地方消費税額の合計額(消費税額等)」とを区分して領収している場合において、その消費税額等の1円未満の端数を処理しているときは、その端数処理後の消費税額等の合計額を基にその課税期間中の課税標準額に対する消費税額を計算することが、消費税法施行規則第22条第1項により認められています。

2 改正の概要

 ところで、平成16年4月1日から「税込価格」で表示を行う総額表示が義務づけられることに対応して、上記の消費税法施行規則第22条第1項も今回見直され、この「課税標準額に対する消費税額の端数処理の特例」は、平成16年3月31日をもって廃止されることとなりました。しかし、これまで「税抜価格」を前提とした値づけ等を行ってきた事業者が多いこと、また、「税込価格」を基に計算するレジシステム等に変更する必要がある場合であっても、その変更にはある程度の時間を要することもあると考えられることなどから、次のような経過措置が設けられることになりました。

(1)  総額表示義務の対象とならない取引(事業者間取引等)
 これらの取引については、「税抜価格」を前提とした改正前の端数処理の特例措置の 適用が、平成16年4月1日以後も当分の間、認められます。
(注) なお、総額表示義務の対象とならない事業者間取引等で、「税込価格」を基礎とした代金決済を行う場合には、下記(2)の経過措置が適用できます。

(2)  「税込価格」を基礎とした代金決済を行う取引(総額表示義務の対象とならない事業 者間取引等を含む。)
 「税込価格」を基礎とした代金決済を行う際に発行される領収書等において、その領収金額に含まれている消費税額等(その領収金額に5/105を乗じて算出した金額)の1円未満の端数を処理した後の金額を明示している場合に限り、その明示された端数処理後の消費税額等を基に消費税の計算を行うことができる特例が、当分の間の措置として設けられます(この(2)の経過措置は、総額表示の実施に向けた対応を早めに行う事業者への配慮から、平成15年10月1日以後行う取引から適用できます。)。

(3)  総額表示義務の対象となる取引(対消費者取引)で「税込レジシステム」への変更が 間に合わない場合
 「税込価格」を基に計算するレジシステム等の変更が間に合わないなど、すぐには上記(2)の要件を満たす代金決済を行うことができず、やむを得ず従来の「税抜価格」を基礎とした代金決済を行わざるを得ない場合には、総額表示義務を履行していることを条件に、引き続き「税抜価格」を前提とした改正前の端数処理の特例措置の適用が3年間(平成19年3月31日までの間に行われる取引)に限り認められます。


      ※ (2)の経過措置の適用要件を満たす代金決済の例
        (「税込み157円(税抜150円)」と表示している商品の場合)

税抜価格150円から計算する代金決済であるため、(2)の経過措置は適用できません。ただし、総額表示義務を履行している場合には、(3)の経過措置を3年間に限り適用することができます。

(財務省ホームページ『総額表示Q&A』より引用)

 

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